2024年2月9日 バレンタインで慌てない!!~これであなたもチョコマニア!?~

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 街のあちらこちらに"チョコレート"や"ショコラ"の文字が溢れていますね。今年もフランスやベルギーなどのチョコレートの本場から続々と有名ショコラティエ(チョコレート職人)が来日し、イベント会場で自社商品のPRをする姿も定着してきました。今や、ショコラティエ顔負けの知識をもって、高級ブランドの期間限定品や特製チョコレートに歓喜する方も多く、イベント会場は大変な賑わいをみせています。一方で、ブランドやチョコレートの種類の多さに戸惑っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 そこで今回は、数あるチョコレート製品の中から、お気に入りをゲットするために、知っておくべきチョコレートの基礎知識を学んでおきましょう。

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 チョコレートは、カカオという植物の種子(カカオ豆の胚乳)から作られる食品ですが、歴史的には、紀元前3300年頃に発見され、メソアメリカ(メキシコから中央アメリカにかけて、多くの農耕文化やさまざまな文明が繁栄した地域)で食用とされていて、大航海時代にコロンブスなどによりヨーロッパに渡り、貴族を中心にヨーロッパ全土に広まりました。その後、製法が改良され、現在では世界中で愛されるお菓子となったわけです。

 製法は、カカオ豆を収穫し、バナナの葉で覆ったり、木箱に入れたりした後、カカオ豆を混ぜたり、空気を入れながら発酵させて風味を引き出します。この発酵がチョコレートの風味を左右する大変重要な工程で、風味の前身となる物質「プレアロマ」が生成されますが、カカオの風味の大半がここで決まると言っても過言ではありません。発酵によって数百もの物質が生じるだけでなく、苦味や渋味がまろやかになるといわれています。次に、発酵が終了したカカオ豆を乾燥させ、焙煎破砕、摩砕してペースト状にし、ブロック状にしたものがカカオマスです。これを輸入し、工場で砂糖、ココアバター、粉乳などの副材料を混ぜて成形パッケージングしたものが大量生産のメーカー品となります。これとは別に、品質にこだわって作られたクーベルチュール(製菓用チョコレート)を材料に、ショコラティエが様々に加工し、1粒売りされるトリュフなどの高級チョコレートがあります。

 また、近年では、選別した乾燥カカオ豆を個人で輸入し、産地にこだわって焙煎や摩砕の方法を変えたり、豆をブレンドしたりして、オリジナルの風味を提供する「ビーン・トゥ・バー(bean to bar)」スタイルのチョコレートも人気です。さらに、オリジナルのチョコレートを使ってスイーツやアイスクリーム、石鹸や化粧品などに加工した「ビーン・トゥ・バー」製品など、カカオそのものの風味にこだわる、マニア志向のチョコレートの楽しみ方も広がりを見せています。

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 このように、カカオそのものに注目が集まるようになると、知っておかなければならないのがチョコレートの原料となるカカオ豆の品種です。品種ごとに異なる風味があり、同じ品種でも原産地によって風味が変わります。

 まず挙げられるのはフレーバービーンズと呼ばれるクリオロ種です。クリオロ種は南アメリカ原産で、繊細で果実や花のような香り、苦みが少なくマイルド、優しい酸味が特徴で、生産量は全体の数%の希少な高級品種です。

 次に世界のカカオ生産量の約80%を占めるのがフォラステロ種です。アマゾン川やベネズエラオリノコ川流域で栽培され、カカオらしい苦みと、ポリフェノールを含むことによる渋みが特徴で、香りもやや刺激的、成長が早く、病気や害虫への抵抗力が強いため、栽培しやすいことが特徴です。しかし、風味が劣るため、ベースビーンズとして使用されることがほとんどです。

 そして、クリオロ種とフォラステロ種を組み合わせた交雑種がトリニタリオ種で、美味しい上に、栽培がしやすく、豆の形や色、香りや味わいもさまざまで、繊細でねっとりとした食味が特徴です。世界での生産量は1015%程度で、コートジボワール、ガーナ、ナイジェリア、カメルーン、スリランカ、インドネシア、パプアニューギニアなどの各地で生産されています。

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▲ビーン・トゥ・バー

 今年のチョコレートイベントにはすでにMOF(フランス国家最優秀職人章)を含むトップクラスの技術を誇るショコラティエ、シェフが来日し、味や香りを競っていますが、彼らに共通の特徴は、直接カカオ産地へ足を運んでいることがあげられます。カカオを取り巻く環境への理解に努めて、作品に落とし込む"ビーン・トゥ"への取り組みを行い、地元の素材や文化をモチーフにした作品で、地域性を打ち出す傾向が強くなっています。

 いかがですか?マニアックなカカオの世界!あとは味見あるのみ。楽しんでカカオについての見識を深めてください。

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