2023年11月30日 カラダぽかぽか 冬支度をはじめよう

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 11月初旬には夏日が記録されるほどだったのに、急に冬がやってきましたね。冬支度が追いついていないという方も多いのではないでしょうか。私も突然の冬に対応できず、薄着で寒すぎたり、重ね着しすぎて暑すぎたりと、失敗ばかりの今日この頃です。今回は本格的な冬に備え、カラダを内側から温める対策と、食の冬支度に関するコラムをお届けします。

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「カラダを温める」

 カラダの末端が冷えていたり、カラダが温まりにくいなどの「冷え」の症状は、頭痛や肩こり、むくみなどにつながりやすく、放っておくと慢性の体調不良を起こすこともあります。「冷え」の原因は、ストレスや環境の変化、運動不足や不規則な食事などによる血流量の低下です。原因がわかっていても、それを取り除くのは簡単ではありません。そこで、カラダを温める=「温活」を取り入れてみてはいかがでしょうか。

 「温活」には、睡眠や入浴などの生活習慣、食事、運動、メンタルヘルスなどのアプローチ法があります。

 生活習慣では、毎日規則正しく過ごすとともに、質の高い睡眠、効果的な入浴方法も大切な要素です。入浴は、40℃以下のぬるめのお湯に浸かるのが基本ですが、肩まで浸かる全身浴、みぞおちから下だけ浸かる半身浴、入浴と休憩を繰り返す反復浴、カラダの一部だけ湯に浸ける部分浴など、さまざまな入浴法があります。いずれの方法でも、入浴前後の水分補給は忘れずに。

 食事では、「栄養バランスのよい食事を3食摂る」、「温かい食べ物をよく噛んで食べる」、「カラダを温める食材を選ぶ」などがあります。日本食の一汁三菜は、いろいろな食材を取り入れやすく、栄養バランスがとりやすいのでおすすめです。カラダを温める食材は、「地域」と「旬」に注目して見分けるとよいでしょう。寒い地域で育つものや、寒い季節が旬の食材は、カラダを温めるものが多いという傾向が強いです。例えば、冬が旬のネギや、にんじんなどの根菜類。比較的寒冷な地域の特産品であるりんごやぶどう、さくらんぼなどもカラダを温める食材です。

 適度な運動は、筋肉量を増加させる、血行を促すなどの効果があるほか、ストレス発散にも有効です。ストレッチやマッサージ、ウォーキングなど、ご自身で取り入れられるものからはじめてみましょう。

 「食品の保存」

 冷蔵・冷凍の技術や、季節に関係なく農作物を栽培する技術が今ほど発達していない時代には、食品を長期間保存するために、または作物がとれない冬の食料として、さまざまな方法で食品を保存し、備蓄していました。

 キムチや干ししいたけなどの野菜類、ソーセージやサラミなどの肉類、ジャムやジュースなどの果物類の他、ピータンなど、さまざまな保存食があります。

 保存方法には、食品から水分を奪う乾燥法、砂糖、塩、酢に漬ける方法、チップ(木片)をいぶして出る煙に当てる燻煙法、微生物の発酵を利用した方法などがあり、これらの保存方法を組み合わせて、食料を長期間保存できるように加工していました。先人の知恵がつまったこれらの技術は、今も受け継がれています。

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▲ピクルスと野沢菜漬け

 「冬の保存食」

 秋から冬に移行するこの時期には、「干し柿」や「野沢菜漬け」、「切り干し大根」、「イクラの醤油漬け」などの保存食の仕込みが行われます。多くの保存食は、旬をむかえた食材を収穫して保存します。つまり、食品を保存する技術は、大量に収穫された旬の食材をムダにすることなく食べきるコツでもあるのです。

 さて、世界にはどんな保存食があるのでしょうか。韓国では11月頃、各家庭でキムチの仕込みがはじまります。寒さの厳しい韓国では、冬の間の野菜の供給源として、ひと冬分のキムチを仕込みます。この時期天気予報では、キムチを漬けこむ気温に適した日を知らせてくれるそうですよ。また、ヨーロッパでは、トマトを煮詰めて瓶詰や缶詰にしたもの、野菜を塩漬けや酢漬けにしたものを冬の保存食としています。冬が長い北欧では、ベリー類をジャムや飲み物に加工して、冬の間のビタミン補給に利用します。

 現在では、栽培技術や流通機能の発達により、こうした保存食がなくても、年間通してさまざまな食材を手に入れることができます。便利になった一方で、こうした「冬支度」が失われていくのは少しさみしい気がしますね。

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▲韓国の市場

 「家庭でできる冬支度」

 旬の白菜は、栄養価が高く、価格は比較的安い。ひと冬分のキムチを漬けることは難しくても、スーパーで買える適量の白菜を浅漬けや糠漬けにして食べてみるのはいかがでしょうか。炒めたり煮たりして食べるのも美味しいですが、少しの間寝かせるという「待つ」行為が、食べる楽しみを倍増させてくれます。

 また、この時期に多く出回るりんごやみかんなどの果物もコンポートにしてしまえば、比較的長く保存することができます。鍋に果物と、果物がひたる程度の本みりんを入れて煮込むだけ。材料は果物と本みりんだけですからとても簡単です。

 みりんの特徴は、砂糖に比べてまろやかな甘味。さらに、みりんには、うま味成分であるグルタミン酸をはじめとするアミノ酸類、乳酸やリンゴ酸などの有機酸が含まれます。これらが複雑に絡み合うことで深いコクが生まれるのです。そのため、みりんのコンポートは、果物の風味を残しつつ、まろやかでコクのある甘さに仕上がります。


 もうすぐ冬本番。手袋やマフラーの準備とともに、今年は食品の冬支度にも挑戦してみませんか。

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