2023年10月31日 元気が出る温かメニューの代表~スープのチカラ~

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 長かった夏から、やっと温かい湯気が恋しい季節になりました。外気温が下がってくると体表の熱が奪われ体温が下がります。すると体温を保つために血管が収縮しますので血行が悪くなり、各種臓器はもとより免疫活動も鈍化、抵抗力が弱れば感染症のリスクは上がり風邪をひきやすくなります。さらに関節などの動きも悪くなり転びやすく腰痛などにも影響します。ですからこれからの寒さに向けての課題はとにかく身体を温く保つこと。体表の熱を維持するために温かい衣服で身を包んだりカイロなどを使うより、もっと効果的な方法があります。それは、身体を中から温めることです!そこで今回は、身体を芯から温めるのに一番適した食べ物、スープについてお話ししましょう。

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▲季節野菜のポタージュ

 「スープ」は、フランス語の「soupe」が語源で、もともとは「煮汁に添えるパン」のことでしたが、いつしか肉や野菜、魚介類などを煮込んだ水分の多い料理を指すようになりました。そもそも、レストランという言葉の語源が「気力、体力を回復させるrestaurer」 という言葉なのですが、パリで活力回復を謳った肉や野菜を煮込んだ汁物=スープが売り出され、これを出す飲食店をレストランと呼ぶようになったそうです。出汁がメインの和食の汁物よりも、スープはまさしく"元気が出る食べ物"ということになりますね。

 ところで、温かい汁物を食べると身体が温まり、新陳代謝が促進されることで"元気が出る"わけですが、そのメカニズムは理解していますか?

 温かいスープを食べるとお腹の付近だけでなく身体全体が温まりますね。それは、身体の中心にある臓器=胃袋に温かい液体が入ることで、胃全体が万遍なく温まる→その熱により胃の脇を通る太い血管を流れる血液が温まる→温まった血液が全身に行き渡る→結果として縮んでいた血管が広がり血行が促進される→酸素や栄養分が全身に行き渡る→細胞や臓器が活発になり代謝が高まる!というわけです。

 また、スープには水分だけでなく、野菜や肉、魚介類から溶け出した様々なビタミン・ミネラル・食物繊維などが含まれており、身体に必要な栄養素を自然に無理なく補給することができます。さらに、その水分は胃の中にある食べ物の流動性を促すことで消化を助ける働きがあるため、胃腸の調子を整えることができます。

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トマトとラー油のスープ

 これはもう、スープを食べるしかない!と思うのですが、いざ、お家でスープを作るとなると、何から始めたら良いのか戸惑う方はいらっしゃいませんか?

1)まずは、冷蔵庫に余っている野菜類を全部出してザクザク切って鍋に入れ、かぶる程度の水を加えて火をつけます。入れてはいけない野菜はシュウ酸が含まれるホウレンソウくらいで、緑色が褐変(茶色になる)することを気にしなければ葉野菜もブロッコリーもOK。ジャガイモ、ゴボウ、カボチャ、人参、キャベツ、レンコン、大根、白菜、何でもありです。もちろん、玉ねぎ、トマト、ネギ、キノコ類は大歓迎!

2)沸騰してきたらアクを取って弱火に落とし、鶏、豚、牛肉、ベーコン、アサリ、カキ、ホタテ水煮など何でもいいので、ほぐしながら加えて再度沸騰させます。アクを取り、あれば名刺サイズの昆布も入れてグッと弱火に落として蓋をします。ワインや日本酒などがあればさらに良し。適量を加えたら、あとはコトコト、入れた野菜が柔らかくなるまで、2030分以上、白濁していた煮汁が透き通るまで、TVを見ながら?雑誌をめくりながら?のんびり煮てください。

(3)野菜が煮えたら鍋の大きさによりますが、味見してから(素材から塩分が出るため)小さじ1/2くらいから何回かに分けて塩を加え、あればコショウや好みのスパイスを振り、仕上げにお好みでオリーブオイルやごま油など、香りのあるオイルをかけるか、バターを落とします。これで脂溶性のビタミンも取り込めます。全体が柔らかくなったところでハンディーブレンダーなどでガ~~~と撹拌し、塩コショウすればすぐにミックスポタージュの完成。お好みで生クリームを加えればさらにコク深くなりますよ。

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▲麦入りスープ

 野菜の硬さや大きさ、彩りを考慮して入れる順番を変えたり、甘さを出す玉ねぎや風味のニンニクなどを先によ~く炒めて・・・など、いろいろ考える前に、先ずは素材の力を信じてただゆっくり煮てみてください。肉や野菜から出るうま味は水溶性で、加熱により繊維がほぐれることで煮汁に流れ出ます。出てきたうま味成分が合体して相乗効果が生じ、グッとうま味を引きあげ"おいしくなる"のですが、このうま味が合体する化学反応に20~30分程度の時間が必要で、物理的にここの時短はできません。この時間さえ待つことができれば、コンソメや出汁の素などを買わずに、素材だけで充分においしいスープが作れます。ランクアップの方法は山ほどありますが、まずはここから。湯気のごちそうを楽しんでみませんか?


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