2023年10月10日 玉ねぎはスゴイ!~野菜界の影の主役~

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 10月に入り、暑さも少しやわらいできました。そろそろ"食欲の秋"ですね。秋の味覚と言えば、銀杏や松茸などが目立ちますが、甘さが人気の芋栗南京や、人参や大根などの根菜類も、この時期旬をむかえます。中でも、和洋中のジャンルを問わず、煮ても焼いても揚げても蒸しても、独特のうま味と甘さをもつ"玉ねぎ"は、陰の主役の名にふさわしい野菜です。

 やわらかく癖のない風味が特徴の新玉ねぎも悪くはありませんが、きゅっと固くしまった今が旬の玉ねぎは抜群の存在感です。そこで今回は身近過ぎて見落としがちな玉ねぎの凄さについてお話ししましょう。

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▲一般的な玉ねぎのほか、新玉ねぎ、紫玉ねぎなど種類豊富

<玉ねぎの健康効果>

 まずはその健康効果です。血圧、血糖値、血中コレステロール値の高い方は血栓が作られやすいリスクがありますが、玉ねぎに含まれる「硫化アリル」が脂質と結合することでビタミンEと同じような抗酸化作用を発揮するため、血液をサラサラにし、血栓を予防する効果が期待されます。また、硫化アリルは、ビタミンB1の吸収を高める働きもあり、疲れやすい、イライラするなど、ビタミンB1不足による症状を緩和します。ビタミンB1を多く含む豚肉、風邪予防に効果的なビタミンCが豊富なジャガイモや、皮膚を強くするビタミンAを含む人参などが協力して働く、豚肉じゃがやカレーなどの煮込み料理がおススメです。

 玉ねぎは抗酸化作用があるポリフェノールの一種「ケルセチン」を含みます。細胞を傷つける活性酸素を除去する働き=抗酸化作用が強く、長期的な摂取によりさらに効果を発揮すると考えられています。さらに腸活の強い味方「オリゴ糖」も多く含み、腸内環境を整えるのに役立ちます。便秘解消や肌のコンディションを整え、免疫機能を高めます。また、玉ねぎの「食物繊維」は糖や脂質の吸収を抑え、食後の血糖値の急激な上昇を抑えて血中コレステロール値を低下させます。さらに余分なナトリウムとともに水分を排出する作用があるカリウムを含み、高血圧を防ぐ働きも期待されます。これほどの効果が期待できる食材ですから、もっと注目されてもいい気がしませんか?

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▲生の玉ねぎスライスでアジアンサラダ

<玉ねぎの切り方>

 さて、野菜は切り方によって食感や風味が変わりますが、特に玉ねぎは切り方で別の野菜のような顔を見せます。

 輪切りで薄めならサラダに、厚めだとリング揚げや天ぷらなどに使われます。繊維を断って切る場合、生だと風味が強く出て、加熱すると早く柔らかくなります。繊維に沿って半月形に切る場合は、加熱しても形が崩れにくく、炒め物やスープなどに使われます。軽い加熱ではシャキシャキとした食感が残り、長時間加熱すると溶けて甘みが増します。また、薄いスライスは、生ならサラダやピクルスなど、加熱するなら手早く火を通したいときに使います。シチューや肉じゃがなど、玉ねぎの形を残したい煮込み料理の場合は、くし形にカットします。

 玉ねぎの風味を全体に行き渡らせたいハンバーグやボロネーゼ、各種ソースなどでは、細かくみじん切りにカットします。

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▲玉ねぎですき焼き

<玉ねぎの料理>

 調理に関しては、星の数ほどの多くのレシピが存在しますが、玉ねぎそのものの風味を味わうならオーブン焼きがおススメです。大きさにもよりますが、皮つきのままアルミホイルなどに包んで150160℃なら90120分、170180℃なら60分、220230℃なら30分程度焼くだけです。低温でじっくり焼くほうが甘さは増します。

 早く火を通したい、または仕上がりをきれいに見せたい場合は、焼く前に頭に放射状の切り込みを46本入れ、オイルを垂らしておきます。また、少し厚めの輪切り玉ねぎで作るすき焼きもおススメです。長ネギよりも甘さが濃厚でご飯によく合います。コツはごま油などで、玉ねぎだけを先に弱火でゆっくり炒めておくことです。これでしっかりうま味と甘みが引き出されますので、あとはいつもの通りのすき焼きを作っていただければ一味違う甘辛おかずになります。

 いかがですか?改めて玉ねぎの凄さ、お気付きいただけましたか?食欲の秋のお供にたくさん食べて季節の変わり目を元気にお過ごし下さい!


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