2024年7月19日 夏野菜でスッキリ~果菜類のチカラ~

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 猛暑お見舞い申し上げます。皆様、無事でお過ごしですか?今年もまた危険な暑さで、異常気象が普通になりつつありますが、あまりの高温に人ばかりでなく自然界の動植物も対応に苦慮しているようです。しかし、そんな中でも、めげずにたくましく育ち、私たちを癒してくれる野菜達は、夏バテ予防の強い味方です。そこで今回は、今が旬、お馴染み過ぎて意外と知らない、ナス、ピーマン、キュウリ、オクラなどの夏野菜について、改めてその特性やおいしい食べ方のコツなどをお伝えしましょう。

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 そもそも、野菜を語る際、まず押さえておくべき情報の筆頭は原産地です。なぜなら、原産地の気候風土に近い地域で栽培された野菜は、ストレスなく生育できるため、風味がよく高い栄養価を維持しています。例えばナスは東インド、キュウリはヒマラヤ、ピーマンは南米、オクラはアフリカ東北部が原産で古代よりエジプトで栽培されていました。お気づきですね!?どの野菜も強い日差しの乾燥地帯が故郷です。高温や紫外線、降雨から身を守るために、人にも有効に働く抗酸化物質を多く含み、水分の蒸発で枯れるリスクを回避するために水分を留める特質を持っています。

 具体的には、ナスやピーマンは、強い日差しから身を守るナスニンやリコピンなどのポリフェノールをまといながら、暑さによる蒸発で干乾びないようにたっぷりと水分を含んでいます。キュウリは本来、高温や乾燥から自分を守るために、ブルームと呼ばれる蝋質(ろうしつ)で覆われていました(日本のキュウリはブルームレスが主流)。オクラは水分に粘る性質を持たせ、表面をうぶ毛で覆って水分の蒸発を防ぎながら生育します。結果、強い抗酸化物質とたっぷりの水分を含み、その成分が私たちの夏疲れに効果を発揮します。

 また、一般的に、植物の生育適温はおおむね15℃30℃とされ、植物にとって心地よい地表の温度は17℃前後とされています。夏の直射日光などで地面の温度が上がると植物は火傷の状態になるので、多くはつるを伸ばして地面から這い上がり、背が高い果樹に実る果実のように、風通しの良い空間にぶら下がって実をつけます。これが夏野菜を別名「果菜類」と呼ぶ所以です。きびしい気候条件下でもしっかりと結実する植物って凄いですね。

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 このように、自然のパワーみなぎる夏野菜は今が旬!価格もお手頃ですから、今が食べ時です!水ナスやキュウリ、オクラなどは生のまま、刻んで軽く塩をしてしんなりさせ、余分な水分を捨てたら醤油やおかかなどをかけるだけでもおいしくいただけます。お好みでラー油やオリーブオイル、ヨーグルトなどで和えると一味違った風味が楽しめます。刻んだ大葉やミョウガなどと一緒に辛子醤油や柚子胡椒と和え、ゴマを一振りすれば冷えたお酒が進む肴になります。

 コロコロに切ったキュウリやミニトマト、オクラ、納豆、大葉などを合わせて、冷やしうどんにトッピングしてはいかがですか?麺つゆをかければ、野菜のエキスが溶け込んで複雑な味わいが楽しめます。

きゅうり 麺 調整mini.jpg

 お盆前ころまでのナスは皮が薄いので、皮ごとの調理がおススメ。ナスニンは水溶性のため、切ったら水に晒さずにすぐに調理しましょう。もし煮たり炒めたりして色が落ちてしまっても煮汁ごと食べればOK。油で調理すれば油膜でナスニンの流失を止められます。甘みそ炒めや麻婆風炒め、揚げ煮や天ぷらなど、油を使った調理がおいしいのは理にかなっているわけです。

ナス揚げ出し おろし和え 一味 調整mini.jpg

 ちなみにお盆を過ぎると皮が厚くなってきますので、皮をむく焼きナスや蒸しナスがおいしくなります。油での調理が向いているのは、ピーマンやオクラも同じですから、ナスがおいしいメニューは、ほぼそっくり同じレシピで、ピーマンやオクラにも応用できます。麻婆ピーマンや甘みそオクラ炒めも意外なおいしさです。とは言え、油っこいのはちょっと...、という方は、素揚げした夏野菜に、大根おろしをかけておろし和えはいかがですか?淡口しょうゆと酢を同割で混ぜた合わせ酢をかけたり、梅干しを日本酒で煮た'煎り酒'があれば、生魚や蒸し鶏と盛り合わせて、夏野菜のおろし和え豪華バージョンにしてみましょう!

 外の灼熱と室内の冷房と、気温差でも体調を崩しがちです。夏野菜から自然のパワーを取り込んでどうぞ元気でお過ごしください!

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