2024年6月10日 元々は薬草?ハーブのチカラ

タイトル.jpg

 いよいよ、蒸し暑い季節に突入ですね。気温だけでなく湿度が高いと、体温調節の汗が蒸発しにくくなり、いつまでも皮膚表面に残るため酸化してべた付いたり嫌な臭いになったりします。唐辛子などの刺激的な料理を食べて強制発汗すれば体内にこもった熱は発散できますが、ベタベタは残ります。豊富な水に恵まれている分、湿度が辛い日本ですが、せめてお口の中くらいはさわやかに過ごしてみませんか?

そこで今回は、さわやかな香りと、様々な風味で料理を引き立てるハーブについてお話ししましょう。

★白身魚のハーブペースト挟み焼き調整mini.jpg

▲白身魚のハーブペースト挟み焼き

 そもそもハーブ(herb)とは、薬草や香草のことを指す英語で、薬用や食用、香りなど、人間にとって有用な植物を総称してハーブと呼びます。紀元前1700年頃、古代エジプト時代に書かれた「パピルス文書」には約700種類の植物についての記録があって、インドで紀元前1000年前頃にまとめられた、伝統医療アーユルヴェーダの書物「リグ・ヴェーダ」にもインド特有の植物を中心に約1000種類の薬用植物についての記載が残っています。平安時代(延喜 18年)にまとめられた日本最古の薬草辞典である「本草和名」によると、日本では飛鳥時代から薬草として利用されていたとされています。

★パクチーサラダ調整mini.jpg

▲ハーブサラダ

 ハーブは主に草本植物の葉や茎を使用し、基本的にはフレッシュで、爽やかな風味を添えるのに使います。代表的なものには、パセリ、ミント、バジル、コリアンダーのほかにタイム、オレガノ、ローズマリー、ディルなどがあります。エスニック料理に使われるレモングラスやバイマックルー(コブミカンの葉)や、日本では薬味と呼ばれる大葉、ミョウガ、ネギなどもハーブです。

 ハーブとは、似て非なるものとして「スパイス」がありますが、ハーブとの違いをご存じでしょうか?スパイスは、植物の種子や果実、根、樹皮、花などを乾燥させて作られ、強い風味と香りがあり、肉や魚料理、お菓子、紅茶、カクテルなど幅広い料理に利用されています。代表的なものには、コショウ、ナツメグ、シナモン、クローブ、サンショウなどがあります。ちなみに、生姜やニンニク、ワサビなどもスパイスに分類されます。

★パクチーチャーハン調整mini.jpg

 ▲パクチー炒飯

 日本でもなじみのある「パセリ」は、β-カロテンやビタミンB群、カルシウムや鉄、食物繊維を多く含むなど、栄養成分が豊かなので、飾りとしてではなく野菜としてぜひとも食べて欲しいハーブです。「バジル」の葉は、甘くてスパイシーな香りで、トマト料理やパスタ、ピザなどとの相性が良いハーブ。魚料理との相性が良い「タイム」は、臭み消しに万能で、風味が柔らかいため、ほかのハーブと混ぜてグリルやスープ、クリーム煮などにも使われます。強い香りを持つ「ローズマリー」は、肉料理や焼き野菜とよく合います。オーブン焼きのほか、オリーブオイルに浸しておいて、食べる直前に料理にかけるのもおススメです。「コリアンダー」は、タイでは「パクチー」、中国では「香菜(シャンツァイ)」と呼ばれ、独特の強い香りで食欲増進とデトックス作用が知られています。エスニック料理には欠かせないハーブです。「ミント」には、さまざまな種類がありますが、いずれも爽やかな香りを持つハーブです。ペパーミントやスペアミントは、お茶やデザート、モヒートなどのカクテルにもよく利用されます。ミントの葉を混ぜ込んだミントバターは肉料理に、冷製スープに添えれば夏らしい爽やかな一品に。「大葉」や「ミョウガ」「バジル」などは、薬味として冷ややっこやチーズ、焼いた肉や魚に一つまみ添えたり、ハーブを数種類混ぜて刻み、マヨネーズやオイル、ドレッシングに混ぜればハーブソースの完成です。今年の夏はハーブを使って料理にバリエーションを広げてみませんか?


 ユーキャンでは、食に関するさまざまの講座をご用意しています。

 詳しい情報はコチラから→「ユーキャン食関連講座のご案内」