2024年12月10日 やっぱりご馳走!高級品だからこそしっかり選ぼう!~牛肉のプロ知識~

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 いよいよ師走、今年も残り少なくなってきました。クリスマス、お正月、忘新年会など普段より豪華なメニューが食卓を飾る季節です。中でもローストビーフに代表される牛肉メニューはやはりテーブルの華ですね。和牛、A5、産地を指定した銘柄牛などは贈り物やふるさと納税でも人気で、即日完売する商品もあるようです。そこで今回は、意外と知らない、牛肉の品質についてご紹介しましょう!

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 まずは、お肉選びのポイントを確認しておきましょう。

<牛肉選びの3つのポイント>

①品種

②飼育環境

③飼料

 牛肉にはトレーサビリティが義務付けられているので(牛トレーサビリティ法:牛の出生から牛肉になるまでの履歴情報を公開する法律)、牛肉に表示されている個体識別番号をインターネット上で検索すると、出生年月日や品種、飼養場所などを調べることができます。

 牛にはさまざまな品種がありますが、大まかに乳用種か、肉用種なのか、が一番ザックリした分け方です。皆さんの牛のイメージの代表は、白に黒のまだら模様のホルスタイン種でしょうか?ホルスタインは代表的乳用種ですが、乳用には、薄い茶色のジャージー種やブラウンスイス種もあります。これらは乳用種ですが乳を出すのはメスだけですから、オスは肉用としてメスとは別の環境で肥育され、比較的低価格で販売されます。ミルクが取れなくなった高齢のお母さん牛も肉用として出荷しますが、「経産」と表示されています。月齢が長いのでうま味が強い場合が多いです。他によく聞く品種としては、ハンバーガーチェーンなどでよく見かけるアンガス種やブラウンスイス種(乳肉両用)。オーストラリア産のオージービーフは、オーストラリアの格付けシステムに基づいて品質が評価され、アメリカ産のアメリカンビーフもアメリカのUSDA(米国農務省)の格付けシステムによって評価されています。そのため、スーパーなどでは、お店によって表記が違いますが、アメリカンビーフには「USDAプライム」や「USDAチョイス」といった表示がされていることがあるため、お肉選びの基準にしてもよいでしょう。

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 食品表示法による畜産物の原産地表示では、飼養期間が最も長い産地を「原産地」として表示することになっています。つまり、外国で出生した牛でも、輸入した後、飼養された期間が最も長い産地が日本であれば、「国産牛」となります。しかしながら、「国産牛」と「和牛」は同じものではありません。「和牛」は、「黒毛和種」「褐毛和種」「日本短角種」「無角和種」の4種と、これらの品種間の交配による交雑種をいい、国内で出生し、国内で飼養された牛のことで、一般の国産牛と区別するために、高価格品として付加価値をつけた別枠が設定されています。この「和牛」は、国産牛市場の6割程度を占めます。中でも「黒毛和種」=「黒毛和牛」が和牛の90%を占めますから、「和牛」のほとんどは「黒毛和牛」ということになります。

 これとは別に、「格付け」というシステムがあります。これは、日本独自の価値基準で、皆さんがよく目にする「A5」などがその例です。牛肉の格付けには、A.B.Cの歩留等級(肉量)と、15までの肉質等級(主に脂肪量と質=「マーブリングスタンダード」があります。

 歩留等級とは、牛1頭から取れる食肉の量を示すもので、A等級:歩留が良い、つまり牛全体から取れる食肉の量が多い、B等級:食肉の量が標準的、C等級:食肉の量が少ない、となります。次に肉質等級の15の数字は、牛肉の脂肪がどのように分布しているか、脂身の量がどれくらいあるか、いわゆるサシの量や均一性=マーブリングで格付けされます。

1:脂肪がほとんどなく、肉色や脂肪の色、光沢、締まりが劣り、きめの粗いもの

2:脂肪がやや少なく、肉色や脂肪の色、光沢、締まり、きめが標準的なもの

3:脂肪が標準的で、肉色や脂肪の色、光沢、締まり、きめが標準的なもの

4:脂肪がやや多く、肉色や脂肪の色、光沢、締まり、きめがやや良いもの

5:脂肪がかなり多く、肉色や脂肪の色、光沢、締まり、きめがかなり良いもの

 このように格付けは、1頭からとれる肉の量とサシと呼ばれる脂身の品質に関する評価で、うま味や香り、栄養価などに関する評価基準はありません。ですから、高級肉とされるほぼ脂身のA5ランクの肉が本当にご自身のお望みのお肉なのか、よくご検討下さい!

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 最後に牛肉のごちそうメニュー「ローストビーフ」の簡単で失敗しないレシピをお伝えして終わりにしましょう。大事なのは、ブロック肉の中心温度を5560℃に保つこと!今回は炊飯器を使った作り方をご紹介します。

①ブロック肉の表面に強めの塩コショウをしたら、強火で表面をしっかり焼く。

②チャック式保存袋に入れて、溜めた水に沈めるかストローなどで袋内の空気を抜く。

③炊飯器にお湯を入れ(70℃前後)、②を沈めて、「保温」スイッチを入れて放置する。

④300~500gのブロック肉で3040分、7001㎏程度で1時間程度保温したら、炊飯器から袋ごと取り出し、ボールなどに入れた水に浸けて冷まします。

⑤粗熱が取れたら、冷蔵庫に入れて冷やす。

できるだけ薄く切って、ワサビなどを添えてお召し上り下さい。

ぜひお好みのお肉を見つけて、美味しい&楽しい年末年始をお迎えください!

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