2025年4月10日 アスパラガスに性別があるって本当?~おいしさの秘密~

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 暖かい日差しが心地よい良い季節になりました。シャキシャキとした歯触りとさわやかな風味でこの季節を代表する食材と言えば、アスパラガス(Asparagus)ですね。ニンニクやネギなどと同じユリ科の多年生植物で、原産地は地中海沿岸地域とウクライナ地方とされています。原産地に近い冷涼な気候の北海道などで春の光に向かって真っすぐに伸びる姿と美しい新緑色、そして癖のない風味は主役にも脇役にもジャンルを問わず重宝され、老若男女に好まれていますが、そのおいしさの秘密や正しい選び方などはあまり知られていません。そこで今回は、これからが旬のアスパラガスについて少し深掘りしてみましょう。

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▲アスパラガスとフォアグラのテリーヌ

 先ずはその歴史から。紀元前2000年頃の古代エジプト、ギリシャ、ローマなどで既に栽培されていた記録が残っており、特に古代ローマでは薬用や食材として重宝され、ヨーロッパを中心に栽培が広まりました。16世紀頃にはフランスやイギリスで「高貴な野菜」として人気が高まり、その後、ヨーロッパからアメリカ大陸やアジアに伝わり、日本には江戸時代にトマトと同様、観賞用として渡来し、明治になって食用になり、戦後に一般に親しまれるようになりました。

 ご存知のように、アスパラガスには主に緑色の「グリーンアスパラガス」と、土を盛り上げて光を遮断して育てることで色素が発達しない「ホワイトアスパラガス」の2種類があります。それぞれに違った風味で、栄養価が異なるのも魅力の一つですが、共通の栄養素としては、免疫力を高め皮膚の健康を保つ効果があるビタミンACEKを豊富に含み、特に妊娠中に胎児の健康な発育をサポートする葉酸や、腸内環境を整える食物繊維、体調を整えるカリウムや鉄、カルシウムなどのミネラルを含みます。さらに、アスパラガスの名前の由来になったアスパラギン酸は、筋肉・内臓・皮膚・血液など、体をつくる成分となるたんぱく質を構成している20種類のアミノ酸の中の 一つで、疲労回復やエネルギー代謝を助けます。そして重要なのが、アスパラギン酸は、グルタミン酸と同様に人間のうま味受容体を反応させるうま味成分です。つまり、グルタミン酸やイノシン酸などを含む動物性食品と反応させると「うま味の相乗効果」が起こり、そのうま味は78倍に増強!グッとうま味を引き上げる、おいしさの秘密です。

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 また、タイトルにもあるようにアスパラガスには性別=オスとメスがあって、それぞれの味わいに違いがあります。

 まず、メス株の特徴は、穂先がキュッと締まった丸い形をしていて、芽を出す数が少ないため、1本への栄養素が多く分配され、栄養価が高く甘くておいしい、と言われています。茹でたり、軽く焼いて卵黄と合わせたりと、食材そのものの風味を味わうメニューに向いています。一方、オス株は、穂先が隙間のある筆のような形をしていて、繁殖力が強く収穫量が多いので、市場に出回っているアスパラガスの大半はオス株になります。こちらはシャキシャキの歯ごたえとさっぱりとした味わいなので、肉巻きや炒め物、パスタなど、彩りと風味で様々な料理のアクセントとして大活躍します。

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▲アスパラガスのサラダ

 最後に選び方ですが、とにかく鮮度第一!全体に張りがあり、切り口が瑞々しく乾いていない、ハカマとハカマの距離が長く、その数も少なく、正三角形のものを選びましょう。ハカマとハカマの距離が短いものは、気温などの影響でゆっくり成長してしまい、皮が硬いものが多いです。また、ハカマの形が正三角形のものは、鮮度が良く、良い生育条件で育った証ですが、収穫して時間が経つと、正三角形だったハカマが次第に二等辺三角形になってきて、全体が硬くしわしわに劣化します。すぐに食べない場合は、濡らしたキッチンペーパーなどに包んで冷蔵庫で保存し、できるだけ早く食べきるようにしましょう。1~2日で食べきれないようでしたら、さっとボイルし、できる限り急速冷凍して保存しましょう。

 地球の裏側からの輸入品もあり、一年中店頭に並ぶアスパラガスですが、実は鮮度が命の野菜です。性別や鮮度を見極め、これからが旬の味わいを存分に味わって下さい!

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