2025年11月20日 キノコの旨味を極める~知っておきたい加熱の技術~

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 地域によっては、紅葉が終わりを告げ晩秋から冬へと向かう今日この頃、皆さんいかがお過ごしですか?この季節は、動物も人も寒さに備えてエネルギーを蓄える時期なので、食欲がMAXに盛り上がります!そんな食べすぎ注意の今、常備したい食材と言えば、旬の風味と豊富な栄養価があるにもかかわらず、低カロリーで調理が簡単な"キノコ類"です。

 一年中手に入りますが、実は、キノコ類は秋の深まりとともに旬を迎える食材です。しいたけ、しめじ、まいたけ、エリンギ、マッシュルーム他、昨今は種類も豊富で、和洋中問わず幅広い料理に活用できます。生食で食べられるものもありますが、加熱が基本です。しかし、キノコは「ただ火を通せば美味しくなる」という食材ではありません。そこで今回は、キノコの加熱による変化と、旨味を最大限に引き出すコツをお伝えしましょう。

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 まず基本として、キノコは"加熱で別物になる"食材ですから、その魅力は加熱によって香り・旨味・食感が劇的に変化する点にあります。生の状態では控えめな風味でも、火を入れることでグアニル酸やグルタミン酸といった旨味成分が引き出され、香気成分(アルコール類、ケトン類)が立ち上がります。つまり、キノコには「火入れの技術」が必須となります。

 例えば、ソテーなら"焼き色"で香ばしさを引き出します。キノコをソテーする際、最も重要なのは「動かさずに焼く」こと。フライパンに油を熱し、キノコを広げて並べたら、すぐに触らずじっと待ちます。ここで得られる焼き色は、メイラード反応によって香味成分が生成される証。水分が出る前に焼き色をつけることで、香ばしさと旨味が凝縮されます。焼き色がついたら裏返し、軽く火を通すだけで十分。動かしたり蓋をすると水分が出て蒸し焼きになり、香りも食感も損なわれてしまいます。火加減は中火〜強火、油はオリーブオイルやバターなど、香りを補完するものがおススメです。

 一方、煮込みやスープなら、焼き色をつけずに水分を引き出して旨味を抽出します! スープやソースに使う場合は、キノコから出る水分=旨味を活用します。弱火でじっくり加熱することで、キノコの細胞壁が崩れ、旨味成分が液体に溶け出します。グルタミン酸や硫黄系の旨味やほのかな甘味などを含む食材(玉ねぎや鶏肉、昆布など)と合わせることで、旨味の相乗効果が生まれ、深みのある味わいに昇格します。フランス料理では「フォン・ド・シャンピニオン(マッシュルームの出汁)」や、「デュクセル(ニンニク、玉ねぎ、マッシュルームのみじん切りを炒めたペースト)」として、ソースやリゾットのベースに使われることも。水分を出す=味が抜ける、ではなく、"抽出して活用する"という発想が重要です。以上のポイントを押さえておけば、キノコメニューは応用自在です。

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▲デュクセルと牛肉のパスタ

 例えば、キノコのコンフィは、オリーブオイルで低温加熱し、保存性と旨味を両立させた一品。まいたけやエリンギを使い、香草とニンニクを加えて90℃前後で30分ほど加熱。冷蔵保存で数日持ち、前菜やガルニチュール(付け合わせ)として展開可能です。またはキノコのラグーもおススメ。しめじやマッシュルームを細かく刻み、炒めた玉ねぎ(もちろんひき肉を加えても)とともにトマトソースと合わせれば、パスタやグラタンにも応用できます。最後は生食メニューも一つ。キノコのカルパッチョ風なら、簡単な割に意外性で喜ばれますので、お酒のお供や持ち寄りの集まりなどにもピッタリです。生食可能なマッシュルームを薄切りにし、オリーブオイルとレモン汁でマリネ。塩と黒胡椒で味を整え、あればパルミジャーノを削って仕上げれば、前菜やアミューズにぴったり。シンプルながら、素材の良さが際立つ一皿です。

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▲マッシュルームのサラダ

 キノコは、加熱の順序・温度・時間など、技術で味が大きく変わる繊細な食材です。余計な手を加えず素材の力を引き出しましょう。この秋は、キノコを通じて火入れの技術を磨いてみてはいかがですか?

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