2026年2月27日 春の足音を「苦味」でひも解く

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 暦の上では春を迎えましたが、まだまだ寒さが残るこの季節。 でも立春を過ぎれば自然界の時計は春! スーパーに一年中同じ野菜が並ぶ現代で、山菜は「季節」を教えてくれる貴重な存在です。そこで今回は、山里からの苦味の贈り物=山菜についてお話ししてみましょう。

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▲春づくしの一皿

 私たちが普段口にする野菜は、甘味を引き出しえぐみを抑え、食べやすさをメインに品種改良されてきた、いわば「箱入り娘」です。一方、山菜は、天然の防衛成分であるポリフェノール類を蓄えながら厳しい自然を生き抜く「野生児」です。自らを守るためのこの成分は、実は人にとっても有効に働きます。

 古くから「春の皿には苦味を盛れ」と言われますが、これには理由があります。 冬の間、私たちの体は熱を逃がさないよう「省エネモード」に入り、代謝が滞って老廃物を溜め込みがちです。そこに山菜の苦味が入ることで、体は毒物への警戒信号をキャッチし、排泄と新陳代謝の二つのスイッチをオンにします。

 一つは、苦味成分「植物性アルカロイド」による浄化作用。腎臓を刺激し、余分な水分や老廃物を出すデトックス効果を発揮します。 もう一つは、毛細血管を広げて血行を促進し、冬眠状態だった代謝を「活動モード」へと切り替えてくれる活性スイッチです。山菜を食べて目が覚めるような思いがするのは、来る春への準備が整うという先人の知恵なのですね。

 そして、山菜で楽しみなのは、2月から5月にかけての旬のリレーです。 トップバッターは、独特の芳香を放つ「ふきのとう」。続いて、歯触りとコクが人気の「タラの芽」が登場します。春が深まれば、彩り豊かな「うるい」や、シャキシャキとした「独活(うど)」、晩春には滋味深い「わらび」や「ぜんまい」へと繋がります。八百屋を覗くたびに春の足音を聞くことができるのは、食いしん坊の特権ですね!

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▲「ふきのとう」と「こごみ」

 また、敬遠されがちな「アク抜き」ですが、コツを掴めばシンプルです。例えば天ぷらにする場合、事前の下処理は不要。高温の油を通すことで、油分が味覚のレセプターに蓋をして苦味を和らげ、特有の風味を香ばしく引き立ててくれます。一方、わらびなどの強いアクは、重曹を入れたお湯に一晩浸し、焦らず素材からアクが抜けるのを待ちます。

 山菜料理は色々ありますが、意外なことに「洋風アレンジ」も絶品です。 刻んだふきのとうをサッと塩茹でし、水分を切ってふきのとうペーストを作ります。ペペロンチーノの要領でニンニク・唐辛子を炒め、バター少々を加えて、ふきのとうペーストと共に絡めます。マイルドなほろ苦さがクセになりますよ。また、タラの芽をベーコンとオリーブオイルで炒め、仕上げに醤油を垂らせば、脂の甘味が苦味を包み込み、ワインにも合うモダンな一皿に変身です。うるいは生食がおススメなので、サラダに。独活はジャパニーズセロリと考えればアレンジは自在ですから、和洋中と色々に使ってみて下さい。

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▲うるいの小鉢

 まずは、ふきのとうを刻んで味噌とみりんで練りあげてふき味噌に。温かいご飯に乗せて頬張りながら、その苦味の成分に思いを馳せてみましょう。そんな春のスタートに、改めて五味や栄養素、調理のコツを学んでみませんか?

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