2026年7月10日 おいしいピクルスはうま味で決まる-その理由は?-

タイトル.jpg

 梅雨らしい不安定な天気が続いています。湿度でバテ気味の方もいらっしゃるのではないでしょうか。そこで今回は、気分もさっぱりさせる爽やかなピクルスをご紹介しましょう。

ピクルス.jpg

 ピクルスは本来、野菜を塩漬けにして乳酸発酵させた漬物で、古くからヨーロッパ全土で保存食として食べられてきました。微生物の働きによって自然に酸味が生まれる点が特徴です

 アメリカでピクルスといえば小型のきゅうりが一般的で、サンドイッチやハンバーガーの付け合わせとして親しまれています。イギリスでは、玉ねぎやにんじん、カリフラワーなどの野菜のほか、ゆで卵のピクルスもよく食べられています。

 一方で現在では、乳酸発酵をさせず、酢や香辛料をベースとした調味液に浸けたものも広く「ピクルス」と呼ばれています。日本の家庭で作られるピクルスの多くもこのタイプです。乳酸発酵は長期保存に適している反面、時間と手間がかかるため、酢を使って短時間で酸味と保存性を補ったものといえます。酢には殺菌作用があり、食品の保存性を高める働きもあります。今回ご紹介するのは、このような非発酵タイプのピクルスです。

サンドイッチ.jpg

 さて、ピクルス液の説明に入る前に、料理の「おいしさ」を設計するポイントを簡単に見てみましょう。基本五味である「塩味・甘味・苦味・酸味・うま味」の中で、料理の味の土台となるのは「うま味」です。

 「うま味」にはいくつか種類があり、主に植物性食品に含まれるグルタミン酸、動物性食品に多いイノシン酸、貝類に含まれるコハク酸、きのこ類に含まれるグアニル酸などが知られています。これらの異なるうま味成分は組み合わせることで相乗効果を生み、料理全体の味わいを豊かにしてくれます。

 ピクルス液の基本は酢ですが、酸味だけでは単調になりがちです。そこで、塩味や甘味を少し加え、さらに複数のうま味を重ねることで、ぐっと奥行きのある味になります。

 甘味は野菜にも含まれていますが、少量の砂糖やはちみつを加えるのも効果的です。さらに、野菜に含まれているグルタミン酸のうま味を引き立てるには、じっくり熟成された酢を選ぶのもひとつの方法です。熟成期間の長い酢には、発酵や熟成の過程で生まれた多様な風味が含まれており、より深い味わいに仕上がります。

 また、うま味を手軽に補う方法として、かつおだし(土佐酢)やきのこ類を加える方法がありますが、意外な食材としておすすめなのがドライトマトなどの乾物です。乾燥によってうま味成分が凝縮され、ピクルス液にコクを加えてくれます。刻んで入れるほか、戻し汁を利用するのもおすすめです。

タルタル.jpg

▲ピクルスのタルタルソース

  ピクルスは、そのままで立派な副菜ですが、刻んでポテトサラダに加えたり、マヨネーズと合わせてタルタルソースにするなど、幅広く活用できます。

 ピクルス液を作る際の注意点としては、加熱しすぎて酸味を飛ばさないことです。材料を小鍋に入れて沸騰直前まで温め、砂糖や塩が溶ければ十分です。

 きゅうりやにんじんなどのほか、これからの季節はミニトマトやみょうが、オクラ、パプリカなどもピクルスにピッタリです。ただし、肉や魚などの動物性食品を加えると保存性が下がるため注意しましょう。今年の夏はいろいろなピクルスに挑戦して、我が家の新定番を見つけてみませんか。

 

 ユーキャンでは、食に関するさまざまな講座をご用意しています。

 ご興味のある方はぜひコチラへ→「ユーキャン食関連講座のご案内」