「一年の計 6回立てて 長期所有」 

どうした、ゆうくん?今日はあんまり食べてないじゃないか。

あら、学校でなんかあったの?う~ん、熱はないみたいね。

しゅうと君が田舎に引っ越すんだって...。
卒業まで一緒に過ごしたかったな。

そうなの?しゅうと君は、ゆうくんの大親友だもんね。

うん。田舎のおばあちゃんに介護が必要になったんだって。しゅうと君のお父さんは一足先に田舎に帰ってて、他の家族は夏休み中に引っ越すって言ってた。

確か5年ぐらい前よね?しゅうと君一家が引っ越してきたのは...。

「一年の計 6回立てて 長期所有」

なにそれ?

いやあ、不動産を売却するときは、その所有期間によって税率が異なるんだよ。
無論、所得税や住民税は譲渡益が発生した場合に課税されるものだけどね。所有期間が5年以下のときは短期所有となって、5年超の長期所有と比べると税率が高くなるんだよ。

へぇ、そうなの。
1、2、3... しゅうと君一家は引っ越してからこの夏でちょうど5年になるわよ。

うん、そこがポイントなんだ!

どういうこと?

所有期間は、売却した年の「1月1日」時点で判定されるんだ。つまり、今年の夏でちょうど5年ということは、この前のお正月までの所有期間は5年以下になっちゃうよね。
ということは、短期所有となるから税率が高くなるわけ。

じゃあ、来年になってから売却した方が税率が低くなるのね!!

そういうことだね。不動産を購入してから6回お正月を迎えれば長期所有になるから、「一年の計 6回立てて 長期所有」って覚えているんだ。

どのくらい税額が違うの?

譲渡益が500万円だと仮定すると、短期所有なら所得税・住民税を合わせて198万円ぐらい、長期所有なら101万円ぐらい課税されるね。

えっ?!数カ月待つだけで税額が100万円ぐらい違っちゃうのね。

そうさ。ただ、「居住用財産の3,000万円特別控除の特例」と言ってね、所有期間の長短に関わらず、譲渡益から最大で3,000万円を差し引くことができるんだ。
譲渡所得の金額は、売却価額から取得費や譲渡費用を差し引いて計算されるんだけど、さらに、3,000万円特別控除の適用を受ければ、譲渡益は発生せず、課税されることはないんじゃないかな。
<譲渡所得の金額=譲渡価額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額3,000万円>

そうかあ。しゅうと君ママに、お目当てのバッグとホテルのランチビュッフェに100回ぐらい行けるわよって言ったら、引っ越しを遅らせてもらえるかと思ったんだけどなぁ。
私も気の合うママ友と離れちゃうのはさみしいな。

しゅうと君とはサッカーもずっと一緒にやってきたもんな、さみしくなっちゃうな。
そうだ!パパと一緒にしゅうと君の田舎に遊びに行くっていうのはどうだ?

うん、行きたい!ぼく、しゅうと君と一生親友でいようって約束したんだ。

今回は「居住用財産の譲渡にかかる税金や特例」のお話でした。
譲渡所得は、不動産の所有期間の長短(5年超か5年以下)によって税率が異なること、また、所有期間は譲渡した年の「1月1日」時点で長期・短期所有が判定されるという点をおさえておきましょう。