退職後の年金手続きと医療保険
相変わらずきれいにしているわね。
え~?片付いているのはリビングだけよ。
それで、体調はどうなの?
うーん、ストレスかな、それとも更年期かな?
とりあえず来月で仕事をやめることにしたの。
そんなに悪いの?
ときどきね。でも、会社の健康診断では異常なかったのよ。
今日はね、今後のことで相談に来たの。退職したら、年金や健康保険の変更手続きが必要よね?私、そこのところよくわからなくて...。
私も詳しくないなあ。FPの渋谷さんに聞いてみようか!
はい。では順番にご説明しますね。
長野さんは、現在、厚生年金保険の被保険者で、また国民年金の第2号被保険者でもあります。退職により、厚生年金保険の被保険者資格を喪失しますが、この手続きは会社がやってくれます。
また、国民年金は第2号被保険者から、第1号被保険者または第3号被保険者へ種別変更の手続きが必要です。
長野さんは、しばらくお仕事をされないんですよね?何かほかに収入を得ることができますか?
いいえ、無収入です。
それなら、会社員であるご主人(第2号被保険者)の被扶養配偶者になることができますよ。国民年金の第3号被保険者です。第3号被保険者には保険料負担がありません。
国内居住で、年収130万円未満かつご主人の年収の1/2未満というのが要件です。
保険料負担がないというのはいいわね。
失業等給付などの収入があり年収要件を満たさない場合は、国民年金の第1号被保険者へ種別変更することになります。第1号被保険者は、毎月一定額の保険料を支払わなくてはなりません。
失業手当を受けるつもりはないので、保険料負担のない第3号被保険者になるのがよさそうね。
公的医療保険は、次の3つのうちから一番保険料が安くなるものを選択することができます。
①国民健康保険の被保険者
②現在加入している健康保険の任意継続被保険者
③ご主人の健康保険の被扶養者
自分で選べるの?知らなかったわ。
いずれも保険給付の内容は同じですし、医療機関の窓口で支払う自己負担割合も3割なので同じです。ただし、月々の保険料には違いがあります。もちろん、長野さんは③ご主人の健康保険の被扶養者になれるので、保険料の負担はありませんよ。
①と②の保険料は同じですか?
①国民健康保険の保険料は前年の所得に応じて決まりますが、算出方法が市区町村により異なります。問い合わせれば計算してくれますよ。一般に高収入を得ていた人は保険料が高くなるといわれます。
②任意継続被保険者の保険料は、協会けんぽの場合、ご自身の退職時の標準報酬月額と30万円を比較して、いずれか少ない金額を標準報酬月額として保険料を計算します。会社員のときは、会社が保険料を半分負担してくれていましたが、退職後の保険料は全額自己負担です。
被扶養者の要件を満たさない場合、①と②の保険料を計算して、いずれか保険料の少ない公的医療保険に加入するのが一般的です。
国民年金の第3号被保険者への変更や健康保険の被扶養者になる手続きはどこでするのかしら?
どちらもご主人の会社が手続きしてくれます。
ありがとうございました。あー、安心したら、おなかがすいてきちゃった。
ねえ、おいしいものでも食べに行こうよ。
ゆうくん、今日はおばさんがごちそうするわよ!
ぼくにはよくわからないけど、知らないと損しちゃう人もいるんだろうね。
ゆうくん、実はね...、私もFPの勉強をするまでは知らなかったの。遠い昔、高い保険料を支払っていたことがあるの。今思い出しても悔しいわ...(涙)。
えっ?損した人がこんな近くにいたなんて!
今回は、ライフプランニングと資金計画の社会保険制度(公的年金と健康保険)を取り上げました。