2020年10月9日 芋・栗・南瓜は永遠のアイドル!?秋野菜の甘さのヒミツ

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 秋本番、実りの秋、根菜類が旬を迎えていますね。土の中で養分を蓄えた芋類やニンジン、レンコン、ゴボウ、地上にずっしりと腰を下ろすカボチャ、イガイガに包まれぷっくりと顔を出す栗など、ほっくりほくほく食感と優しい甘さは、今も昔も女性たちの心を掴んで放しません。

さつまいも.JPG ▲ゆっくり加熱したさつまいもに、砂糖と醤油を煮詰めて絡めたツヤツヤおやつ

 紅葉前線と共に北から南に旬が南下し、色付きながら風味を増す秋の味覚は女性たちばかりでなく冬眠を迎える動物たちにも大人気です。人気の秘密はズバリコク深い"甘さ"!秋野菜や果物が赤や黄色に色付き甘さを増すのには大きく二つの理由があり、そこには生き物の生存にかかわる秘密が隠れています!

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 理由の一つは、厳しい冬の寒さでも凍らないためです。甘さのもとであるでん粉質、つまり糖質を蓄えることで糖度を上げていくわけですが、これは冷凍庫の水はすぐに凍るのに、ジュースなど甘さがある液体は凍りにくい現象を思い出していただければ分かりやすいですね。凍れば枯れてしまいますから、甘さは野菜や果物たちにとって冬を生き抜く防寒対策、死活問題なのです。

 もう一つは夏野菜が暑さで枯れないように水分を蓄えるのに対し、秋の根菜類は水分ではなく次の世代の芽吹きに備えるための栄養分としての糖質をしっかりと蓄えるためです。糖質はエネルギー源ですから、芽吹きに必要不可欠!命をつなぐ大切な風味なんですね。

 糖質のエネルギーが命をつなぐのは動物にとっても同じですから、食べ物(餌)が少なくなる冬を控え、できるだけたくさん食べて蓄えておこうとするのは本能で、人も熊も甘くて高カロリーの食材が大好き!秋の味覚の魅力には勝てない、というわけです。

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 ▲栗やさつまいもの和菓子も外せません!

 さて、このように命を繋ぐ風味として誰にも好まれる秋の味覚の代表が、いわゆる芋栗南瓜=さつまいも、栗、かぼちゃですが、お料理にお菓子に大活躍!! ホクホクメニューは星の数ほどありますが、甘さを引き出すコツはただ一つ、じっくりゆっくりゆるく加熱する事です。

 例えばさつまいもを電子レンジなどで短時間で加熱すると、火は通りますのでぽっくりと柔らかくはなりますが甘くはなりません。一方、石焼き芋屋さんで買って来るさつま芋などは、石から発生する遠赤外線がごく表面だけを素早く高温にし、その熱がじわーとゆっくり時間をかけて中心に伝わり甘さが生み出されます。つまり短時間高温加熱では甘さを引き出すことはできないのです。

 石で焼いた芋の方がより甘くなる要因の一つは、サツマイモに含まれているβアミラーゼ(消化酵素)がデンプンに作用して分解、麦芽糖などの甘い成分が生まれるためです。β-アミラーゼが一番活発に働く温度は約70℃であることがわかっていますので、その温度帯を長い時間かけてゆっくりと通り過ぎると酵素が長く働き甘味が増すというメカニズムです。

 この仕組みを知っていれば、さつまいもや栗はもちろん、人参もかぼちゃも、なんと玉ねぎもスイートな風味に仕上げることができます。例えばフライパンで焼く場合にはバターを使い、温度を上げすぎないように注意しながら中弱火でじっくりと焼きあげるとグッと甘さが増します。また、アルミホイルなどに包んでオーブンを100℃程度の低温にセットし、大きさや量にもよりますがゆっくりと1~2時間加熱すると、まるでお砂糖を振ったような甘さに驚きます。そのままで十二分においしいのですが、ほんの少しの塩分や煮つめたバルサミコなどを振ると甘さに奥行が加わりますし、お砂糖と少しのお醤油を煮つめて絡めるとツヤツヤオシャレにグレードアップしますよ。

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