2020.7月号 過去の試験の総評

2020.07.03公開

今度の日曜日は、試験が行われるはずであった7月5日です。皆さん、どのように過ごしていますか?本来なら試験総評をお届けしている7月号ですので、過去の試験傾向を振り返り、学習アドバイスを加えて総評としたいと思います。最後に事例についてのまとめもします。

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はじめに、過去の試験の合格率をみると、3級の最高は第32回の74.3%、最低は第29回の28.3%でした。2級は最高が第30回の75.8%、最低が第18回の13.5%でした。創設から20年以上が経過するので、あらためて眺めると歴史を感じますね。大勢の受験者たちが手に汗握り、難易度が乱高下するこの試験に立ち向かってきました。

この間、公式テキストは初版→改訂版→二訂版→新版→改訂版と発行され、現在は改訂5版になりました。改訂や法改正と合格率に相関はなさそうなので、難易度は気まぐれとしか言いようがありません...。

3級の総評】

それでは、3級の総評から。3級は、まちづくりがテーマに含まれるので、2級よりも1級に近い内容といえます。そのため、難しい内容も含まれ、実際に2級よりも合格率が低くなることが度々あります(過去42回実施されたうち、3級のほうが低くなったのは12回でした)。といっても、学習量が少ないので、やればやるだけ点数につながりやすく、伸ばしやすいのは3級です。以下、分野別に出題割合(配点)と傾向をみていきます。

1章(福祉)前回19
この検定試験は、少子高齢社会の現状として、各種統計をみるところから始まります。しかし、細かな数字を問う出題はまずないので、暗記する必要性は低いです。高い・低い、増加・減少といった傾向を把握しておきましょう。介護保険制度は基礎的なしくみから出題されるので、概要を押さえておけば得点源にできます。自分が利用するつもりになって読んでみるとよいでしょう

2章(医療)前回24
合格者なら誰もが得意というのがこの分野です。高齢者の健康基準、食事、運動、ヘルスプロモーション、認知症予防など、多くは似た内容が繰り返し出題されます。障害者の定義は、極端に難しい問題になることがあるので、時間をかけすぎないようにしましょう。

3章(用具)前回21
具体的な各用具に入る前に、バリアフリーやユニバーサルデザイン、共用品の概念からも1問は出題されます。ユニバーサルデザインは、3級試験の醍醐味ともいえる重要テーマである割に、正答率は常に低いので講師泣かせです。第43回(第5問ア)は難しすぎるので飛ばしてかまいませんが、第42回(第5問アイ)は復習しておいてください。

4章(建築)前回21
2級と比較して3級の建築は解きやすい問題が多く、皆さんの正答率も高い傾向にあります。まずは基本技術をしっかりと固めてから場所別に臨むのが得策です。初学者の方は、頻出の、フラットレールとV溝レール、ハンドレールとグラブバー、踏面と蹴上げなどを比較しながらセットで把握していきましょう。

5章(福祉)前回15
皆さんが苦手とする住宅施策ですが、まるっきり捨ててしまってはもったいない分野です。大きく3つ(多様化する暮らしの現状、バリアフリーや入居の支援、まちづくり)に分けられるうち、バリアフリーや入居の支援が最も多く6~10点分出題されます。ここ(ユーキャンテキストではL20)を中心に見ておいてください。

2級の総評】

2級は、初めての試験(第4回)の合格率が16.9%でしたが、第7回には57.3%となり、その後も不規則に乱高下しています。問題形式も何度か変化を遂げてきましたが、事例については第33回から現在の形式になりました。また第37回から個数問題が登場し、その後も2問ずつ出題されています。(1~6章は公式テキストの章番号です)

14章(福祉)前回28
介護保険制度は、このところ、他の福祉系試験に近い問題がみられるようになりました。介護認定審査会と介護保険審査会の引っかけ、特定疾病に含まれる疾患、介護保険事業計画など。福祉系の学習経験者には有利な傾向ですね。ただし、住宅施策の出題も増えてきて、以前は優先度が低かった障害者向けの住宅施策も、いまでは重要テーマです。「まんべんなく」学習する必要性は変わりません法制度が苦手な方は、先に後半の相談援助やケアマネジメントを得点源にしてください。

23章(医療)前回28
医療は常々、頭でっかちの分野であるとお伝えしていますが、その傾向は何年も変わりません。前半で学習する高齢者や障害者の心身の特性が最重要です。病気や障害を理解するためには、こころやからだの基礎を知ることが必要なのです。そして各疾患からは、認知症が毎回出題されるほかは、出たり出なかったりと密度が下がっていきます。時間がないときには前半だけでも繰り返しましょう。

5章(建築)前回28
事例については、下に別途まとめます。事例以外の問題では、大きく傾向は変わらないものの、基本技術からの出題がやや減り、図面の種類(読み方)や場所別の整備からの出題が増加しています。そうすると、手当たりしだいに寸法を暗記したくもなりますが、初学者は、用語に慣れることが先決です。軸組構法、床束、筋かい、幅木、袖壁といった、よく登場する用語の意味を再度確認しておきましょう。

6章(用具)前回16
まず制度上の取り扱いから2~6点分出題されます。以前は介護保険制度中心でしたが、最近では障害者総合支援法も同じくらいの出題があります。両制度の相違点を意識しながらまとめてみてください。各用具からは、起居・就寝の用具、つえ、車椅子はほぼ毎回出題されるので、対象者像をイメージしながら特徴と留意点などを把握しておきましょう。その他、出題頻度の少ない用具は時間をかけすぎないように。出題サイクルからすると、次回は自助具が出そうです。

●事例問題のまとめ
最後に、事例問題をみてみましょう。「2019.5月号 事例問題どんなもんだい?」に、第37回~第41回のまとめがありますので、その続きを。

【第42回】12点分)やや難

男性、59歳、左片麻痺
●段差、動線の読み取り、福祉用具(平面図)
●浴室の福祉用具の配置(平面図)
●スロープの設置(平面図)
●トイレの手すり、便器、車椅子の配置(平面図・展開図)
●段差解消機の設置(断面図)
→退院に向けて、住宅改修と同時に福祉用具を導入し、活用することがテーマでした。そのため、ほとんどの問題に福祉用具の知識がからみました。入浴用椅子や車椅子などの配置を問われ、健側である右方向に移動・移乗する配置の判断が求められました。

【第43回】14点分)

男性、38歳、脊髄小脳変性症
●建具、段差、スペースの読み取り(平面図)
●浴室の福祉用具の配置(平面図)
●アプローチの手すり(平面図)
●動線、建具、浴室レイアウトの読み取り(平面図)
●段差の読み取り(平面図)
→脊髄小脳変性症の予後を考慮した改修プランでした。浴室の福祉用具の配置や動線の読み取りは、第42回試験と類似した問題で解きやすかったのですが、階段の段数や、庭がGL+100(±0とは限らない!)という引っかけ問題には皆さん苦戦なさったようです。

試験ごとに第5問事例問題の正答率の平均を出してみると、第33回~第39回では70~82%程度でした。しかし、第40回試験を境に、以降は、60%台が続くようになりました。なかには20~30%程度の難問も含まれます。

ということは、明らかに難化傾向といえます。しかし、そろそろネタ切れになってきている感じもしますね。先述のように、第42回と第43回では、かなり似たような出題がありました。過去問題や練習問題を解いてコツをつかんでおけば、じゅうぶんに対応できるでしょう。

前回の試験は平面図のみであったため、次回は断面図や展開図が部分的に出てくる可能性が高いです。受講中の方は、解説動画「一緒に過去問を解こう!」シリーズで講師と一緒に読み取りを行い、慣れておいてくださいね。受講期限の迫っている方は、お急ぎください!

以上、いかがでしたか?
7月に受験を予定なさっていた方は、この悔しさを次回試験での合格の力に変えてください。11月こそ、合格しましょう! 11月までは意外とあっという間です。学習の習慣を途絶えさせないように、少しずつでも続けていってください。復習に復習を重ねる、同じことの繰り返しは実に地味な作業ですが、習得には欠かせないプロセスです。この【指導部だより】でも情報をお届けしますので、覘きに来てくださいね。(駒木)

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