2020.6月号 平面図の読み取り練習

2020.05.29公開

みなさんのまちの状況はいかがでしょうか。指導部の入っているユーキャン代々木ビルは東京都のため、先日ようやく緊急事態宣言が解除されました。今後も感染予防に気をつけながら業務を行ってまいります。

さて今号では、段差と建具を中心に図面の読み取り練習をしてみましょう。学習を開始したばかりの方も、2級に合格する頃にはこのような理解になっているのだとイメージしながら読んでみてください。

それでは、今回のお題はこちら。アプローチにスロープを設置する改修プラン(平面図の一部)です。現状を把握し、改修プランが適切かどうか、またそのほかにどのような問題を抱えているか、洗い出してみましょう。

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<視点>
①スロープは適切?
②玄関の問題点は?
③トイレの問題点は?
④浴室の問題点は?

それでは、1つずつご説明します。

①スロープは適切?
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まず、高低差を読み取るために、「GL」(Ground Level:地盤面)の数字に注目しましょう。これは、一般的に建築物が建つ土地の表面のことで、土地の高さの基準となります。図の場合、敷地がGL±0ですから、この高さを基準に建物の床高さがどれだけ高い位置にあるかがわかります。

それでは、改修プランのスロープの勾配を分数で表してみましょう。敷地GL±0からポーチGL+300までの高低差は300mmですね。これを水平距離2,400mmのスロープで上っているので、300/2,400となり、300で割って1/8となります。適切な勾配は112115ですから、1/8では不適切です。

では、水平距離がどの程度あれば1/12~1/15になるのでしょうか?高低差を12倍~15倍すればよいので、300mmの場合は3,600~4,500mmです。なお、スロープを設置するために必要な距離は、勾配部分の水平距離だけではありません。スロープの上下に1,500mm×1,500mmの平坦部を設けることも忘れずに押さえておきましょう。

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②玄関の問題点は?
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玄関では、まず上がりがまち段差に注目です。ただ、この判断の際、苦手な方は、上がりがまちの場所がどこなのか迷うようです。玄関(土間)を見つけて印をつけましょう。玄関土間は、玄関戸を開けて室内に入り、まだ靴を履いているところです。そして靴を脱いで、玄関ホールに一歩踏み出す境目が上がりがまち段差です。玄関とホールの間をしっかりと確認しましょう。

図の場合は玄関GL+320、ホールGL+450とあるので、その差130mmが上がりがまち段差です。またそのほか、この図では読み取れないのですが、歩行の場合には手すり、車椅子使用の場合にはスペースの確保も重要な視点です。「2018.3月号 これで覚える手すりの位置」「2016.10月号 車いす使用に必要なスペース」をご参照ください。

③トイレの問題点は?
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小さくなりましたが、図の左下にトイレがあり、その入り口に内開き戸の建具記号と、敷居段差50mmの段差記号があります。段差記号は、50mm上がって50mm下がることを示していますから、トイレの床高さはホールから続く廊下部分と同じであると考えられます。

問題点としては、まず内開き戸ですね。内開き戸は、なかで倒れたときに救出しにくくなるので危険です。もっとも使いやすいのは引き戸ですが、図の場合は引き戸を引き込むスペースが取れないので、外開き戸にするのがよさそうです。同時に、50mmの段差を生じさせる敷居も撤去したいところです。

といっても、今回は寸法を載せていませんが、このトイレはスペースも狭いですね。そこで建具を取り払って、洗面・脱衣室とワンルーム化することなども考えられます。現状をどこまで整備するかは、慎重に検討する必要があります。

試験問題では、各事例で疾患や車椅子使用の有無、本人・家族の希望などが示されますから、素直に受け止めた状況から整備内容を判断してください。深読みしすぎないようにしましょう。

④浴室の問題点は?
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浴室は、床高さがGL+330なので、洗面・脱衣室のGL+450よりも120mm下がっています。そこで浴室出入り口には(敷居を考慮しない場合)120mmの段差があることがわかります。上がりがまちにも130mmの段差がありましたが、これが昇降できたとしても、浴室では下肢装具を外していたり、足元が濡れていたりするため、同じように昇降できるとは限りません。

浴室出入り口の段差解消には、洗い場にすのこを敷くか、洗い場の床面をかさ上げする方法があります。すのこのほうが圧倒的に簡易ですが、清掃などのメンテナンスが必要になるので、維持管理も考慮する必要があります。

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もう1つ、浴室出入り口の建具が内開き戸です。トイレと同様、内開き戸では救出しにくくなりますから、建具を変更したほうがよさそうです。ただしトイレと異なり、外開き戸にすると、建具から水が滴って洗面・脱衣室が濡れてしまうので、引き戸のほかの選択肢としては折れ戸にするのが一般的です。

また浴室といえば、浴槽の配置によるレイアウトの違いにも慣れておきましょう。出入り口から見て、浴槽が正面にあるか、側面にあるかで動線が変わってきます。図は正面に浴槽があるレイアウトなので、介助者が動きやすいタイプです。詳しくは「2019.4月号 寸法よりもレイアウト!」をご参照ください。

以上、いかがでしたか?
当講座の受講生は医療や福祉の関係者の方が多いので、感染症対策で奮闘なさっている方もいらっしゃることと思います。本当に感謝いたします。また、すべての人々の協力、支え合いあってこそ感染拡大をいったん免れたのだと思います。みんな、がんばりましたよね。11月の試験が無事開催できるように、引き続き、細心の注意を払っていきましょう。(駒木)

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