2019.10月号 福祉用具に強くなる!

2019.09.27公開

皆さん、学習は福祉用具まで手が回りそうですか?今号は福祉用具の特集です。
特に福祉用具の制度上での取り扱いは、近年、2~6点分ほどの出題があるのですが、皆さんが苦手にしているところです。少し余裕のあるいまのうちに確認しておきましょう。ちょうど国際福祉機器展(H.C.R.)に行ってきましたので、その写真を交えつつ、ご説明します。

【介護保険制度における福祉用具】

介護保険制度での種目の分類は、福祉用具としてテキストで学習する分類と少し異なります。そこで、ここでは、介護保険制度上の分類に沿ってみていきましょう。

●福祉用具貸与の対象種目

福祉用具貸与の対象種目は、13種目あります。貸与(レンタル)の使い方は、心身の状態に応じて、機種を交換したり、不要になったら返却したり、事業者に定期的にメンテナンスしてもらったりできるというメリットがあります。

★→要支援、要介護1の軽度者は原則として対象になりません。
★★→要支援、要介護1~3の人は原則として対象になりません。

①車いす★
自走用、介助用、電動などの車いすで、日常生活で使わないスポーツ用などを除き、多くの機種が含まれます。

②車いす付属品★
車いすと一緒に使う、クッションまたはパッド、電動補助装置、テーブル、ブレーキです。可搬型(自走式)階段昇降機のうち、車いすに装着するタイプもここに含まれます。

③特殊寝台★
サイドレールが取り付けてあって(または取り付け可能で)、背部または脚部の角度調整、床板の高さ調整のいずれかができるベッドです。

④特殊寝台付属品★
特殊寝台と一緒に使う、サイドレール、マットレス、ベッド用手すり、テーブル、スライディングボード・スライディングマット、介助用ベルトなどです。

⑤床ずれ防止用具★
エアマットや、水、ゲル、シリコン、ウレタンなどでできた全身用のマットです。

⑥体位変換機★
からだの下に挿入して体位変換を容易にする空気パッドなどです。

⑦手すり
取り付けに工事を伴わない手すりです。天井と床で突っ張らせるものや、据え置くものがあります。

トイレの手すり.jpg

上の写真はトイレに据え置くタイプの手すりです。賃貸住宅などで工事ができない場合に助かりますね。

⑧スロープ
工事を伴わないスロープです。駅のホームで、駅員さんが電車とホームの間に置いて橋渡しにしているスロープがまさにこれです。

貸与のスロープ.jpg

カーブや地盤面の傾斜に対応したもの、軽量化が図られているものなど、さまざまな種類がありました。

⑨歩行器
車輪のない歩行器のほか、車輪のついた歩行車も含まれます。ただし、体重を支える機能を有していなければならないので、歩行車はフレームやグリップがからだの左右を囲むような形状になっていることが必要です。そのためシルバーカーは含まれません。

電動アシスト歩行車.jpg

上の写真はロボット技術を活用した電動アシスト歩行車です。登り坂では推進力を補助し、下り坂では進みすぎを制御してくれます。写真は下り坂の途中ですが、体重をかけてもゆっくりとしか進まないので感動しました!

⑩歩行補助つえ
松葉づえ、カナディアン・クラッチ、ロフストランド・クラッチ、プラットホームクラッチ、多点杖です。このうち、カナディアン・クラッチは使用例が少なくテキストでの学習範囲に入っていません。またT字型つえは学習しますが、対象外です。

⑪認知症老人徘徊感知機器★
センサーで感知して通報する装置です。ベッドサイドや玄関に設置しておくと、離床や外出しようとしたときにセンサーが感知して、音などで知らせてくれます。

⑫移動用リフト(つり具の部分を除く)★
床走行式リフト、固定式リフト、据置式リフトです。テキストで「リフト」として学習する仲間以外に、床走行式リフトには可搬型(自走式)階段昇降機の人が直接乗るタイプが含まれ、固定式リフトには浴槽内昇降機が含まれ、据置式リフトには据置式や移動式の段差解消機が含まれるなど、制度上、対象となる昇降装置の多くがここに含まれます。

据置式段差解消機.jpg

写真は据置式の段差解消機です。こちらも、介護保険制度上は「移動用リフト」です。

⑬自動排泄処理装置★★
尿や便を自動的に吸引する装置の本体です。尿と便の両方を吸引するタイプは、原則として、要介護4・5の人のみ対象です。

以上、見てみると、要介護状態による制限のない福祉用具のほうが少ないですね。手すり、スロープ、歩行器、歩行補助つえのみです。これらは「転倒予防」などとして、軽度者の利用が想定されます。

(軽度者が対象外となる種目でも、必要な状態にある人は、認定調査データに基づく方法のほか、医師の判断・ケアマネジメントでの判断・市町村の確認、という手続きを踏まえれば利用が可能です)

●特定福祉用具販売の対象種目

貸与に向かない福祉用具5種目は販売の対象になっています。これら販売対象の福祉用具を特定福祉用具といいます。

①腰掛便座
据置式便座、補高便座、立ち上がり補助便座、ポータブルトイレです。テキストで「腰かけ便座」として学習するものと同じです。

②自動排泄処理装置の交換可能部品
自動排泄処理装置の本体に付属するレシーバーやチューブ、タンクなどです。専用パッドのような消耗品や関連商品は対象外です。

③入浴補助用具
入浴用椅子、浴槽用手すり、浴槽内椅子、入浴台(移乗台やバスボードなど)、浴室内すのこ、浴槽内すのこ、入浴用介助ベルトです。テキストで「入浴補助用具」として学習するものと同じです。

入浴用椅子.jpg

こちらの入浴用椅子は、椅子の背に取り付けたパーツにシャワーホースをつなぐことで、打たせ湯ができる機能付きです。浴槽に入れない場合でも、これならよく温まりそうですね!足浴も同時にするのがオススメだそうです(※こちらは開発されたばかりなので、保険者によって保険適用になるかどうか、対応が異なるそうです)。

④簡易浴槽
空気式や折りたたみ式などで容易に移動できる浴槽です。ちなみに、居室(ベッドの近く)で入浴したい人が「訪問入浴介護」を依頼した場合には、専用の浴槽を持ってきてくれますので、購入の必要はありません。

⑤移動用リフトのつり具の部分
移動用リフトに連結して使用するつり具です。再利用が難しいので、販売の扱いになっています。

【介護保険制度における福祉用具の取扱い】

介護保険制度における福祉用具の支給は、上記のように、貸与(レンタル)と販売(購入費の支給)の2通りです。ここで比較したいのが、支給限度基準額と支給方法の違いです。

●福祉用具貸与

貸与は、継続的に利用するサービスなので、訪問介護や通所介護といった他の在宅サービスと組み合わせて、毎月の限度額の範囲で支給を受けられます。そして利用者負担分(1割・2割・3割)のみ本人から事業者に支払い、保険給付分は事業者が代理受領します。この方式を「現物給付」といいます。

(補足:本人が受け取るはずの保険給付を事業者が代わりに受け取る(代理受領する)と、本人への給付はお金ではなく提供されたサービスそのもの(現物)であることになるので、これを現物給付といいます。介護保険のサービスはほとんどが現物給付化されています)

●特定福祉用具販売

販売は、福祉用具自体は継続して利用しますが、購入して費用を支払うのは1回限りです。そのため、他の在宅サービスとは組み合わせず、別途1年度10万円という限度額が決められています。費用は、いったん全額を本人が事業者に支払い、保険給付分を本人が保険者から受け取ります。これが「償還払い」方式です。

特定福祉用具販売と住宅改修費では償還払いが原則ですが、「受領委任払い」を行っている保険者も多いです。これは、事業者に代理受領を委任する方法で、利用者にとっては、現物給付と同じ支払い方になります。一時的とはいえ全額を負担することがなくなるので、とても利用しやすくなります。この3つの支給方法は、試験でよく出るので押さえておきましょう。

【障害者総合支援法における福祉用具】

障害者総合支援法における福祉用具もポイントを押さえておきましょう。補装具と日常生活用具の2通りあります。そして共通点は、介護保険制度が利用できる人の場合には介護保険が優先適用されることです。

●補装具

補装具費の支給は、「自立支援給付」の一つです。補装具には、義肢や装具のほか、歩行補助つえや歩行器、車椅子なども含まれます。そこで介護保険と同じ種目については介護保険優先ですが、個別に適合を図る必要のあるものについては補装具費が支給されるという例外があります。また、補装具では、購入または修理に要した費用が支給されていましたが、法改正により借受け(貸与)も一部の種目で行われるようになりました。

●日常生活用具

日常生活用具給付等事業は、「地域生活支援事業」の一つです。日常生活用具には、特殊寝台や入浴補助用具などのほか、居宅生活動作補助用具として住宅改修も含まれます。補装具との違いは、地域生活支援事業であるため、具体的な品目や利用者負担を市町村が決定することです。また、個別に適合を図る種目は含まれないため、補装具のような例外はなく、原則どおり介護保険が優先されます。

以上、いかがでしたか?
福祉住環境コーディネーター合格後のサポートについても、FJC協会の解散に伴い、ふくせん(一般社団法人 全国福祉用具専門相談員協会)に引き継がれています。住宅改修と福祉用具の活用はセットですから、福祉用具に強くなって、相乗効果を図っていきたいですね。

学習の習慣づくりがまだできていない方は、今日から少しずつでも、毎日取り組んでくださいね。直前期に向けて、「勉強体力」をつけていきましょう!(駒木)

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