2019.5月号 事例問題どんなもんだい?

2019.04.26

いよいよ連休がやってきますね。(逆に忙しいという方もいらっしゃると思いますが...)この機会にぐっとリードしたい!または遅れを取り戻したい!ところです。そして直前期に向かって突っ走っていただけることを期待して、学びオンラインプラスにWEBテストを追加しておきます。存分にお使いくださいね。

それでは、今号は2級試験の第5問、事例問題について、近年の傾向と対策をご紹介します。7月の目標が3級受験だという方も、どのような出題なのかは知っておいてください。意識しながら学習すると、3級の建築分野の理解にもつながりますよ(むしろ3級のほうが建築分野の出題数が多い回もあるのです)。

【事例問題の形式】

2級試験の第5問、事例問題では、図面の読み取りなどの応用が出題されます。まずはどのような形式で出題されるのか確認しましょう。

(1)事例

事例文.png
ご本人の疾患や日常生活の状況、家族構成、住宅構造などについて示されます。

(2)平面図

平面図.png
図面は、はじめに平面図で住宅全体が示されます。改修前の図面のみの場合と、改修前・改修後の2パターンの図面が示される場合があります。

(3)詳細図など

詳細図.png
設問ごと、追加して部分的な平面図、断面図、展開図などが示されます。多くは、少しずつ異なる4つの図のうち、適切な改修をしているものはどれかを選ぶ出題です。

そして、以前は知識を要さず、容易に判断できる問題が多かったところ、最近はだんだんと難しくなり、受験者の正解率が下がってきました。直近5回分の事例問題の概要をみてみましょう。
(以下、図面の種類には詳細図も含みます)

【第37回】10点分)

女性、58歳、関節リウマチ
●段差、建具、スペースの読み取り(平面図)
●開き戸から引き戸への改修(平面図)
●トイレの改修(断面図)
●階段の算定幅(断面図)
→引き戸の把手や引き残し分、階段の算定幅など、やや細かい内容が出題されましたが、選択肢が親切で解答は選びやすくなっていました。

【第38回】11点分)やや易

男性、78歳、パーキンソン病
●段差、建具、踏み台設置の読み取り(平面図)
●寝室のベッドの配置(平面図)
●浴室出入り口の改修(断面図)
●パーキンソン病の症状と手すりの種類
→浴室出入り口の改修の問題では、踏み台を設置したところ、すぐ横のトイレの開き戸とぶつかり、開き戸が開けられなくなることを読み取る必要がありました。テキストで学習することのない、実用的な視点が加わってきた出題でした。

【第39回】13点分)やや易

男性、39歳、胸髄損傷
●スロープの勾配の計算、スペースの読み取り(平面図)
●トイレ、浴室、洗面・脱衣室の改修(平面図)
●アプローチの改修(平面図)
●寝室のベッドと車椅子の配置(平面図)
●スロープの設置(平面図)
→めずらしく新築計画でした。そしてスロープの勾配は、高低差と水平距離が示され、計算するものでした(「17」や「18」となり、急勾配なので不適切)。そしてまた別の場所のスロープでも「112」を計算させられるなど、過去最も計算の多かった試験でした。

【第40回】12点分)やや難

男性、33歳、脳性麻痺
●段差、建具の読み取り(平面図)
●トイレの改修(展開図)
●浴室の改修(断面図)
●居室出入り口の改修(断面図)
→めずらしく展開図が出題されました。そして平面図と見比べながら、開き戸の吊り元を交換した(開き方が逆になる)ことを判断するなど、新しい視点が加わりました。また、浴室の改修は、その断面図が描く壁面の向き(方位)を把握して正しく描かれているものを選ぶという出題でした。

【第41回】12点分)

男性、73歳、パーキンソン病
●建具、段差、スペースの読み取り(平面図)
●浴室の改修(断面図)
●アプローチの改修(平面図)
●リフトの位置合わせ(平面図)
●階段の寸法(断面図)
→アプローチの改修は、①歩行が可能な時期と、②車椅子を利用する時期とで2段階の改修をするというものでした。1度目の改修を無駄にしないように、いずれも効果的な2度の改修をするという実務的な応用の視点でした。そのほか、階段の寸法の問題では、とてもイジワルな引っかけ問題がありました。

※配点:福祉用具や医療など、他の分野の知識が2点分ほど入ることもありますが、第5問の配点としては1013点です。
※難易度:易~やや易~やや難は、正解率から分類しました。

というわけで、だんだんと難しくなってきています。また、同じテーマの問題が出ることもありますが、内容は異なり、同じ結論になることは2度ありません。したがって、過去問を学習するときには、その結論を覚えるのではなく、①出題の手口を見る、②図面から読み取る、そして③時間をかけすぎずに答えを出す、ということの練習だと思って取り組んでください。

解き方のコツについてはもう少しご説明します。

【事例問題の解き方】

1)事例を読む

はじめに、時間があれば事例をさっと読みましょう。ただし、この時点で試験開始から50分以上過ぎていたら、読まずに飛ばしてもかまいません。必要になることはあまりなく、また必要なときは再び読むことになるので、はじめに時間をかける必要はありません。

2)平面図を確認する

次に、住宅全体を示した平面図を確認しましょう。
①方位記号を確認する
問題のなかで手すりの位置などが方位で示されることがあります。北(N)の向きは確認しておきましょう。
②間取りを確認する
たとえば、屋外から帰宅して、玄関、トイレ、お風呂に入って、キッチン、リビング、そして寝室へ、という動線でさっと確認しましょう。そのときに、床段差があるな、狭いな、開き戸の開閉が大変だな、というように、主観的に見ていきましょう。最初に感じる印象はとても大切です。
③明らかに変なところはじっくり見る
とても大きな床段差や短いスロープなど、明らかにおかしい、危険な場所は、その後に出題されると思って間違いありません。どのような状況になっているのか、把握しておくとよいでしょう。それから、各設問を解いていってください。

3)迷ったら最初の平面図に戻る

5問は5-1ア、イ、ウ、5-2など、複数の問題で構成されます。追加して詳細図が示された場合でも、そのすべては、最初の平面図を出発点としていることを忘れないでくださいね。というのも、各設問のなかで、部屋の向きや床高さなど、イジワルして示してくれないときがあるのです。また第40回試験のように、平面図と見比べないと解けない問題もあります。だから、「情報が足りない」「何か変だ」と感じたら、最初の平面図に戻って確認しましょう。

いずれにしても、建築分野の基礎知識が大切なのはいうまでもありません。応用はあくまで、基礎に上乗せするものです。苦手を感じたらテキストに戻って、基礎知識を確認しましょう

さて、次回はどのような出題になるでしょう。応用問題については、予想がたてにくいところですので、鉄則として、基本的な内容は必ず取る、ということを心がけておいてくださいね。全問難しいということはありません。取れる問題は必ずあります。

以上、いかがでしたか?
7月の試験に向けて、指導部は今年度も張り切ってお手伝いしていきますよ!次号は恒例の出題予想です。それまでに試験範囲を最低1周しておいてくださいね。(駒木)

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