2017.8月号 軸組構法の家が建つまで

2017.07.28公開

7月試験の合格発表がまもなくですね。皆さんのもとに嬉しい知らせが届きますように。そして早くも、次回の試験に向けて動き出しますよ!

指導部に寄せられるご質問からすると、皆さんが苦手とするのは圧倒的に建築分野です。寸法や専門用語、業界の慣習などは、関係者でなければわかりにくいですよね。私も専門は福祉ですので、受験した当時、建築分野は半ば諦めていた記憶があります(汗)。でも、せっかくの機会ですから、基礎を固めて土台をつくっていただきたい!そこで今号は、在来の軸組構法で木造住宅が建つしくみをミニ講義します。

1】基礎をつくる

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こちらは布基礎です。壁の下にあたるところに鉄筋コンクリートで基礎をつくり、そのほかの部分は土が露出している状態です(点々としているのは束石です)。<試験に出るところ>1階木造床面は直下の地面から450mm以上の高さにしなければなりません。布基礎の場合、露出した土の上に防湿土間コンクリートを敷設すれば床高さを下げることができます。また、全面に鉄筋入りのコンクリートを敷設した「べた基礎」の場合も床高さを下げられます。

【2】土台を据える

2.土台.png
基礎の上に土台を据えます。こちらは簡易な小屋なので外周だけですが、通常の家では、もっと基礎が入り組んだ形になり、その上に土台が組まれます。そのため、基礎や土台だけでなんとなく間取りがわかります。新築住宅のこの状態を見かけると、ついつい立ち止まり、間取りを想像して楽しむのは私だけでしょうか...。

【3】柱を立てる

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土台の上に柱を立て、(はり)(けた)をかけます。柱はもちろん縦方向の部材、梁桁は横方向の部材です。この柱と梁などの接合部のうち、耐力構造重要な部分は金物でしっかりと留め付けることになっています(接合については、一番下の「新耐震木造住宅検証法」参照)。

【4】筋かいを設ける

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筋かいは、柱と柱の間に斜めにわたす部材です。この筋かいは、風や地震といった水平の力が加わったときに、骨組みがゆがむのを防ぎます。<試験に出るところ>筋かいの入っている壁やその他耐力壁になっている壁などは、撤去することができません。

【5】小屋組みをつくる

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続いて屋根部分の骨組みをつくります。ちなみに、長辺方向の一番高いところが棟木(むなぎ)、その上に斜めに並んでいるのが垂木(たるき)で、これらによって屋根が形づくられます。

【6】間柱を設ける

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骨組みができたら、壁を補強し、仕上げていきます。そこで柱と柱の間に立てるのが間柱(まばしら)です。<試験に出るところ>間柱では細すぎて手すりの受け金具が納まりません。手すりは、柱か補強した壁に取り付けます。

【7】窓まわりの部材を設ける

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窓の上下など、細かいところも組んでいきます。

【8】屋根をかける・壁下地を設置する

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下地材などで骨組みが隠れていくと、急に住宅らしくなりますね。<試験に出るところ>手すりを設置する場所には、受け材(合板)を張って壁下地を補強します。あらかじめ広範囲にしておくと、手すりの設置位置の変更に対応できるので便利です。

【9】床束・大引を設ける

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壁下地と前後して床組みも行います。束石の上に床束(ゆかづか)を立て、その上に大引(おおびき)を乗せます。<試験に出るところ>畳の厚さによって生じる和室・洋室間の床段差の解消には、洋室部分の床束を長くするか、和室部分の床束を短くする方法があります。

【10】根太を置く

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大引の上に直角に交差させるように、根太(ねだ)を置きます。一般的な床のつくりでは、根太が床板を支えます。<試験に出るところ>屋内で電動車いすを使用する場合、大引や根太の強度は、あらかじめ重量がかかることを考慮に入れます。

【11】床・壁を張る

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いよいよ床板を張り、床も壁も仕上げ材を張っていきます。<試験に出るところ>床材は、滑りにくさや強さを考慮して選びます。水回りなどのぬれる場所では、水に強い素材の塩化ビニルシートなどが用いられ、下地にも耐水合板を使うことがあります。また、車いすを使用する場合の床材は、タイヤのゴム跡が目立ちにくい色を選択します。

【12】完成!

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■木造住宅関連ニュース■
【新しい耐震性能チェック法をご存知ですか?】

5月16日、国土交通省から「新耐震基準の木造住宅の耐震性能検証法」(新耐震木造住宅検証法)が発表されました。これは、現地調査を前提とした従来の耐震診断よりも、効率的に耐震性能を検証する方法として考えられたものです。「所有者等による検証」と「専門家による効率的な検証」の2段階構成で、1981年6月~2000年5月に建築された在来の軸組構法の木造住宅(平屋建てまたは2階建て)が対象です。

なぜ上記の期間に限定しているのかというと、まず1981年6月は、建築基準法(施行令)の改正により新耐震基準が採用された年です。そして2000年6月には、接合部等の仕様が明確化されました。つまり、この2つの出来事の間に建築された住宅は、新耐震基準でありながらも接合部の固定(金物での留め付けなど)が不十分な可能性があるのです。

熊本地震では、旧耐震基準の住宅のほか、この対象期間の住宅にも倒壊などの被害が多数発生しました。それを教訓として、リフォームなどの際、リフォーム業者のほか所有者も住宅を自己チェックし、専門家に相談するなどの対策をとることが求められるようになったわけです。

この検証法は、一般財団法人日本建築防災協会が作成しました。現在のところ福祉住環境コーディネーターの試験範囲には含まれませんが、ご興味のある方は、同協会のホームページをご覧になってみてください。

まずはご自宅が当てはまる方、早速活用してくださいね。またリフォームの現場に立ち会った際にも、築年数「20~30年」と聞いたら「接合が不十分かも」、「40年以上」と聞いたら「旧耐震基準だな」と判断し、耐震補強しているかどうかを確認してください。

いかがでしたか?
すべての分野に詳しくなる必要はありません。少し知っているだけでいいんです。その少しが大きく結果を変えてくれます。焦らず、少しずつ、学習していきましょう。(駒木)

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