2017.3月号 介護の相談を受けたとき

2017.03.01公開

皆さんは最近、相談を受けることが増えていませんか?福祉関係の勉強をしたり資格を取得したりすると、仕事でも、プライベートでも、生活にまつわることで頼られるようになります。特に「初めて介護が必要になり、困っている」というご相談は、今後ますます増えていくでしょう。

そんなとき、福祉住環境コーディネーター(卵も含む!)なら、ズバッと的確に答えたいものですね。そこで今号は、介護保険の利用開始時を中心に、相談を受けたときの7つの応答ポイントをお伝えします。

1「お手伝いやリハビリが必要ですか?」

まずは、困りごとの程度を確認しましょう。「うちの母が大変!」というご相談でも、受け止め方や表現が人それぞれ違うからです。「少し元気がなくなった」という程度であったり、「認知症かもしれないけどわからない」というように不明確だったりする場合があります。

高齢者のご相談で状況があいまいなときは、介護予防や総合相談支援を行う、地域包括支援センターに相談することを勧めましょう。地域包括支援センターは、中学校の区域と同じくらいの規模で各地に設置されています。お住まいの住所地を担当するセンターは、市町村のWEBサイトなどで調べられます。

2「主治医(かかりつけ医)はいますか?」

状態がある程度、深刻そうであれば、主治医を聞きましょう。言い換えれば、適切な医療を受けているかどうかの確認です。例えば、認知症の症状で困っている人が、「整形外科にたまに行くだけ」と答えるようなら、必要な検査や治療が行われていません。認知症の初期のご相談であれば、「認知症初期集中支援チーム」(2016.5月号参照)が関わる可能性も含めて、やはり地域包括支援センターを紹介しましょう。

生活に困りごとが生じると、そればかりに気を取られがちです。手っ取り早く介護サービスでどうにかしてほしい、と考えるのが普通かもしれません。でも、困りごとの背景には、何らかの疾患が隠れていることがほとんどです。同時に専門医にかかるなど、解決に向けて総合的に動いていく必要があります。また介護は、医療との連携のもとで提供されるものであり、後述する要介護認定の手続きのなかでも、主治医意見書が必要になります。

3「介護保険には、年齢と、住所の要件があります」

さて、介護の必要性が濃厚になってきたら、要介護(要支援)認定の申請を勧めましょう。そのためにはまず被保険者たる要件を満たすかどうかを確認します。

65歳以上の場合→介護保険の第1号被保険者でほぼ間違いありません。住所のある市町村が保険者になります。この「住所のある」とは、住民票のあるところを意味します。

40歳以上65歳未満の場合→介護保険の第2号被保険者である可能性が高いです。ただし、要介護認定申請を行うためには、16種類の特定疾病に該当しなければなりません。原因疾患を確認しましょう。また、生活保護を受けている場合の多くは介護保険に加入していません。生活保護の制度によって同様のサービスが利用できますので、担当のケースワーカーに相談しましょう。

<特定疾病>
①がん(がん末期)
②関節リウマチ
③筋萎縮性側索硬化症
④後縦靭帯骨化症
⑤骨折を伴う骨粗鬆症
⑥初老期における認知症
⑦進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病(パーキンソン病関連疾患)
⑧脊髄小脳変性症
⑨脊柱管狭窄症
⑩早老症
⑪多系統萎縮症
⑫糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
⑬脳血管疾患
⑭閉塞性動脈硬化症
⑮慢性閉塞性肺疾患
⑯両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

40歳未満の場合→介護保険に加入していません。介護が必要な状態になったら、障害者施策などを利用します。市町村の障害者福祉を担当する窓口で相談するように促しましょう。

4「市町村窓口で要介護認定申請ができますよ」

1号被保険者、または第2号被保険者で特定疾病に該当し、かつ住民票がある場合、保険者たる市町村の窓口で要介護(要支援)認定の申請をすることができます。申請書の記入自体は簡単で、個人番号(マイナンバー)と主治医の名前がわかれば、その場ですぐに済みます。

申請書.png

65歳以上の方が在宅で初めて申請する場合は、上記の赤い文字のところを記入します。被保険者番号は、65歳になり第1号被保険者になった時点で介護保険被保険者証(以下、保険証)が自宅に送られてきますので、それで確認できます。この保険証は、原則として申請時に申請書とともに提出しますが、なくても問題ありません。窓口で「紛失」と伝えてください。

なお、申請は、サービスを利用し始めた後はケアマネジャーや施設に代行してもらえます。でも、まだサービスを利用していない最初の段階では、基本的にご本人やご家族が行わなければなりません。市町村窓口に出向くのが難しいようなら、地域包括支援センターの人に来てもらうか、郵送することもできます。多くの市町村では、申請書をWEBサイトでPDFファイルなどにして公開しているので、ダウンロードして印刷できます。

5「調査員が来たら、普段の生活の様子を答えてください」

無事に申請ができたら、その後の認定手続きは、すべて保険者が行います。決定通知が届くまでにご本人やご家族がすることは、認定調査を受けることだけです。この認定調査は基本的に市町村役所の人が自宅に来て行います。「役所の人が調査に来る」なんて聞くと、身構えてしまうかもしれませんね。

でも、張り切りすぎたり、見栄を張ったりしてしまうと、実態の反映されない調査になってしまいます。日頃の生活でのできること、できないことを、ありのままに伝えることが大切です。できれば、ご家族が立ち会うのが望ましいでしょう。

■番外編■「要介護認定の有効期間内ですか?」

もしも、「保険証を持っているから大丈夫」「もう要介護認定は受けてある」と言われた場合には、必ず有効期間内であるかどうかを確認してください。認定には有効期間が設けられていて、それを過ぎたら無効です。有効期間は認定の種類(新規・更新・区分変更)によって異なりますが、3ヵ月~2年の範囲です。
(2018.4追記:2018年4月から、更新認定の有効期間が最大3年間になりました)

また先述のとおり、65歳になると保険証が送られてくるのですが、これが曲者で「これを持っていればいつでも利用できる」と勘違いしている方が多いのです。認定を受けていない段階では、肝心な部分が未記入のまま。どんなに大事に保管していても、ほぼ意味がありません

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多くの場合、保険証は三つ折りになっています。このうち、最初の段階では左のページしか記入されていません。そして、認定が出ると、真ん中のページに認定情報が入った新しい保険証が送られてきます。さらに、ケアマネジャーと契約して届け出るか施設に入所すると、右側のページに事業者が記入されます。サービスが利用できるのは、この状態です!

6「認定結果が出るまでには、30日ほどかかります」

要介護認定は、一次判定・二次判定という手順を踏むため、ある程度の日数がかかります。「明日、退院するんだけど...」と相談されても、もう間に合いません。入院している場合、MSW(医療ソーシャルワーカー)がいる病院なら、早めに相談することを勧めましょう。病状が落ち着いていれば、入院中でも申請し、認定調査を受けることができます。

また、30日も待てない場合、暫定プランで利用を開始する方法があります。認定の有効期間は申請日に遡って開始になるため、申請日以降なら結果を予想して使い始めることができるのです。ただし、これはあくまで不確実な手段ですから、軽度者にはお勧めできません。例えば、要介護45は出るだろうと予想される場合に、要介護3の限度額の範囲で利用するといった慎重さが必要です。なぜなら、限度額を超えて利用した分は、給付対象外となって10倍の費用がかかるなんてことになるからです。

7「ケアマネジャーは自分で探すんですよ」

いよいよ認定結果が出たら、ケアプランを作成してもらう担当者と契約します。この担当者は、要支援12の場合は地域包括支援センターです。担当のセンターは住所地で決まっているので、探す必要なし。でも、要介護15の場合は、在宅でサービスを利用するなら居宅介護支援事業所を探さなければなりません(セルフプランという方法もありますが、一般的ではありません。毎月の保険単位数を計算するなどの手間がかかります)。

新規申請の場合、結果通知書、新しい保険証とともに、多くの保険者では居宅介護支援事業所の一覧を送付してくれます。この一覧を見て、事業所を選ぶのです。介護保険は「自分で選べる」制度ですが、言い換えると「選ばなければ決まらない」「選ぶ手間と判断が必要になる」ということでもあります。その最たるものがケアマネジャー選びといえるでしょう。

困ったら、市町村の窓口や地域包括支援センターに相談してもよいでしょう。ただし、このような公正・中立であるべき機関では、評判の良し悪しのような主観的な情報は教えてくれません。様子や雰囲気が気になる場合は、面倒でも直接電話をかけてみるのが一番です。電話応対に好感がもてれば来てもらいましょう。

ケアマネジャーと契約してケアプランを作成してもらい、各サービス事業者とも契約を結んだら、ようやく利用開始です。その後は、ケアマネジャーが相談に乗ってくれるので安心です。

いかがでしたか?これで、介護の相談を受けても大丈夫!自信をもって対応してくださいね。試験対策としては、申請書や保険証の詳細は出ません。被保険者の要件や要介護認定の流れを押さえておいてください。(駒木)

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