2017.1月号 ゼロからの学習法

2017.01.04公開

皆さん、あけましておめでとうございます。今年は酉年ですね。トリにちなんで、大きくはばたき、飛躍する一年にしましょう!合格をトリに行こう!

さて今年はじめの指導部だよりは、福祉住環境コーディネーターを目指すための、ゼロからの学習法をお伝えします。すでに学習を始めている方も、ご自身の取り組みを振り返る機会にしてくださいね。

【福祉住環境コーディネーターとは】

建築に詳しくても病気を知らなければ、適応する改修がわかりません。病気に詳しくても改修方法を知らなければ、改修計画は立てられません。また助成や給付が受けられる施策を知らなければ、損をするかもしれません。そして何より、ご本人に寄り添い、理解する人がいなければ、どんな改修をしたって自己実現につながりません。

福祉住環境コーディネーターは、このような問題を解決するために誕生したコーディネーターです。その人らしい暮らしの実現に向けて、ご本人・ご家族と専門職を橋渡ししながら、安全・安心・快適な住環境整備を提案します。

そこで、橋渡し役になるべく、人と住まいにまつわる、福祉、医療、建築、福祉用具の4つの分野を横断的に学習し、その到達度をはかるのがこの検定試験です。2級試験を中心に各分野の内容をご説明すると、以下のとおりです。

●福祉
住み替えや住宅改修を行うときに役立つ、法制度のしくみや援助の視点を学びます。介護保険制度や障害者総合支援法のほか、子育て世帯向けの住宅施策、まちづくり施策、相談援助のためのコミュニケーション技術まで含んだ多様な内容です。

●医療
老化現象のメカニズムや予防法、高齢者に多い疾患(脳血管疾患、認知症、関節リウマチ、パーキンソン病、糖尿病など)のほか、肢体不自由、内部障害、視覚障害、聴覚・言語障害、認知・行動障害といったさまざまな障害とそれに伴う不自由を学びます。

●建築
木造の戸建て住宅を基本として、段差の解消、手すりの設置といった、よく行われる改修の方法や留意点を学びます。また住宅の構造・構法や図面の種類も学び、図面から必要な情報を読み取れるようになることを目指します。

●福祉用具
起居・就寝、移動、排泄、入浴などの生活行為別に、それぞれの場面で活用できる福祉用具や、それらの制度上での取り扱いを学びます。用具の活用法を知ることで、必ずしも大がかりな改修や人的介護を要しない提案ができるようになることを目指します。

この検定試験は、専門家を養成するものではありません。ですから内容自体はそれほど難しくなく、身近に感じられることばかりです。そして生活上の不自由を知ることで、障害をもつ方への理解が深まり、自分の身の回りにも役立つ知識が得られます。

ちなみに、関連職の方からも、「昔の常識と変わっていた」、「意外と知らないことが多かった」といったお声を聞くことがあります。専門分化が進めば進むほど、専門性は高まるものの、一方で知らないことも増えていくものです。ここでの学習は、住まいを考えるきっかけにもなれば、視野を広げるための学び直しにもなります。

【学習スタイルを決める】

さて、いざ受験を決意したら、肝心なのは学習方法の選択です。独学か、通信講座か、通学か。また、さまざまな市販書籍から学習アプリなどなど、いろいろありすぎて迷ってしまいますね。私は通信講座の講師ですから、当然、当講座をイチオシしたいところですが、まずはフラットな立場で選び方をご提案します。次の3つの視点で考えてみてください。

(1)書店で立ち読みした所感で
はじめに、東京商工会議所発行の公式テキスト(2級)を書店で手に取ってみてください。いきなり難なく読めた方、「知っている内容が多いな」と感じた方は、そのまま購入してよいでしょう。加えて問題集(過去問題や予想問題など)に取り組めば、独学で合格が狙えます。次に、試験対策書籍のコーナーも見てみましょう。市販書籍は基本的にデザインの好みで選んでかまいません。ただし公式テキストよりも内容が凝縮されていることにご注意ください。コンパクトなものほど、厳選した内容を丸暗記することを目的としています。そこで確実に攻略できそうな本を最低2冊(テキストと問題集)、選ぶ必要があります。選びにくかったら、通信講座や通学を検討してみてください。

受講中の方は、お届けした教材セットに必要なものがすべて揃っていますので、買い足しは不要です。インプット(覚えること)に必要なテキストから、アウトプット(問題を解くこと)に必要な問題集、その他持ち運び用のポケット教材、モバイル端末でも学習できるwebテストなど。ご活用くださいね。

(2)試験日からスケジュールを逆算して
2つ目の視点として、スケジュール管理を考えてみてください。例年7月と11月に行われる検定試験に向けて、学習時間を捻出し、自分で進捗管理ができるかどうかです。時間管理に自信のある方は独学で問題なし。「学習サポートや尻叩きがあったほうがいいかな?」と思う方は通信講座、「時間割がないと無理...」という方は通学が向いています。ちなみに、この検定試験の学習時間は、3級と2級を合わせて標準100~200時間程度を想定しています。

(3)学びの深さや期待度で
「自分流に学びたい」、「低コストで合格がほしい」という方は独学が、「せっかくだから丁寧に学びたい」、「わからないときは質問したい」という方は通信講座や通学が向いています。事前知識の量、そして新たな学びの深さがどの程度になるかを勘案したうえで、学習スタイルを決めてくださいね。

【学習の進め方・覚え方】

いよいよ学習開始。学習は、知識の森を育む工程です。「木を見て森を見ず」(物事の一部にとらわれて全体を見失う)ということは避けたいものです。まずは森という全体像を見ましょう。全体像とは、本試験全問のこと。そして、本試験に対して70%(合格ライン)を超える知識の森を自分のなかに育んでいくことが目標です。

(1)全体像を知る
まずはテキストの全範囲をペラペラと眺めてみてください。タイトルや色文字、図表だけ目で追うのでもかまいません。目次だけでもかまいません。いわば試験への「ご挨拶」です。挨拶抜きに、いきなり1ページ目の1行目から読み始めるのはNGです。まして暗記しながら読み進めるのは、もってのほか。何年かかっても終わらなくなります。

受講中の方は、第1回の添削課題がその役割を果たしています。「事前テスト」として、試験範囲全体から、クイズ感覚で解ける問題を出しています。点数は気にせずに、まずはご提出くださいね。

(2)つながりをつくる
次に、テキストを読み始めてから意識したいのは、「つながり」をつくることです。このつながりは、2通りあります。①情報どうしのつながりと、②自分とのつながりです。できれば両方のつながりが欲しいところです。

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①情報どうしのつながりは、1本の木が育つのと同じです。根を張り、幹が育ち、最後に枝葉がついていくイメージです。根や幹と枝葉の関係は、「基本と応用」です。「総論と各論」、「概要と詳細」、「原則と例外」とも言い換えられます。まずは基本を理解し、それから細かいところや例外を押さえるようにしましょう。例外から先に理解するのはハードルの高い行為です。

例えば、
●玄関の段差解消の方法として、防湿土間コンクリートを敷設する
試験によく出るフレーズなのですが、これだけでは意味不明ですね(コンクリートで段差解消といっても、スロープをつくるのではありませんよ。住宅の床下の話です)。意味不明な理由は、これが例外規定だからです。

原則は、湿気対策として、床下に風を通すため、木造の1階床面は直下の地面から450mm以上高くしなければならない、という規定です。この規定によって、1階床面が地面より450mmも高く造られ、そこに上がろうとする玄関付近で大きな段差が生じているのです。そして、この高さの規定に対する例外の一つが、防湿土間コンクリートを敷き、湿気対策を施すこと。地面からの湿気が上がらないように蓋をすれば、床面高さを下げることが許される、つまり段差が生じなくなる、というわけです。

次に、②自分とのつながりも例を挙げますね。介護保険制度の基本的な内容、
65歳以上は第1号被保険者
●40歳以上65歳未満の医療保険加入者は第2号被保険者
●第1号被保険者の保険料は年金から天引き
第2号被保険者の保険料は医療保険料とともに徴収
これらのキーワードをバラバラに暗記しても、間もなく消えていきます。

そこで、このように自分の出来事としてつなげてみましょう。
●私は40歳になり介護保険に加入して第2号被保険者になった。医療保険料はもともと払っている。それと一緒に介護保険料も払うようになる。そして、65歳になったら第1号被保険者に切り替え。老齢基礎年金をもらうのもちょうどその頃からかな?でも、その年金は、先に保険料が引かれてしまった額なんだ!

感情と共に入った情報は長期記憶に転送されやすいと言われますから、一喜一憂しながら読み進めていくのは有効な手段です。理解するにも、覚えるにも、つながりが必要です。自分事として、つながりを持たせながら学んでいきましょう。

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(3)繰り返しインプットする
学習効果や忘却についてはさまざまな研究がなされていますが、一説によると、黙読した情報は、24時間後に90%忘れるそうです。どんなに丁寧に読み込んでも、翌日には10%しか残らない...。残酷な現実ですね。書いたり口に出したりすればもう少し効果は持続しますが、それでも1度だけのインプットでは、間もなく消えていくのが通常です。長期記憶に転送するには、繰り返しの学習が必要なのです。

繰り返しの学習には、回数が要求されます。当然ながら、1回あたりに時間をかけると、繰り返しの回数が減っていきます。そこで、どうしてもテキストの読み込みに時間がかかってしまう、という方は、「また後で読む」「覚えるのは後で」と自分に言い聞かせて、スケジュール重視で先に進みましょう。

心にとどめておきましょう!
<学習の3箇条>
1.はじめから暗記しようとしない
2.情報をバラバラのままにしない
3.忘れる前に繰り返す・忘れてもまた繰り返す

【学習計画とペースメイク】

最後に、もっとも重要なことは、計画性と継続性!直前になって慌てないように、計画的に進めていくというのは、やはり試験対策の鉄則です。...耳が痛いですね(私も書いている指が痛い...)。もしかしたら学習内容そのものよりも、進捗管理のほうが難しいかもしれません。でも、これが合格の要素の多くを占めていることは確かです。そこで学習計画は、次の3段階に分けてメリハリをつけ、スケジュールを決めていくとよいでしょう。

(1)ウォーミングアップ:興味づけの学習
はじめから試験対策として意気込みすぎるのはオススメできません。それではせっかくの学びが辛いものになり、嫌になってやめたくなってしまうからです。試験日まで3ヵ月以上のゆとりがある場合は、「ご挨拶」の後にウォーミングアップをはさんでみてください。興味のあるところだけを拾い読みするなど、知りたいことを知る、楽しくて軽い学習です。このときに得た知識は、得意領域となって試験本番まであなたの支えになりますよ。そして、学習が習慣化してきたら、次のステップ、本格的な学習に進みましょう。

(2)メイン:全体を把握する学習
メインとなる学習は、興味を拡げていく作業といえます。新たな領域に挑戦し、理解を深めていく日々の積み重ねです。できるだけ早いうちに試験範囲全体に目を通すことを目指しましょう。つまずきそうなときは、先ほどの<学習の3箇条>を思い出してくださいね。

(3)ラストスパート:試験モードで直前対策
最後、試験日が近づいてきたら、試験モードにシフトチェンジして直前対策を行います。直前対策でやることは問題演習と復習です。そしてここで注意点。この時点でやり残しているテキストがあっても、もう手を出すのはやめましょう。これ以降、開いていいのは、問題集と使い込んだテキストに限ります。なお、直前対策に入るタイミングは、1ヵ月前くらいが理想的ですが、個人差があります。「気づいたら試験1週間前!」なんてことになっても、諦めないでください。悪あがきだって、やればやるだけ身になります。

学習の進め方のイメージが湧いたら、ペースメーカーを用意し、進捗管理していきましょう。王道は、「いつどこまで取り組むか」という予定を書いたカレンダーを用意することです。ただ個人的には、テキストに日付を記入することもオススメします。その日付は、学習予定日でも、学習した日でもかまいません。私はいつも学習した日を目次に記入しています。すると、頑張った時期、サボった時期、進みが速い内容、つまずいた内容というのがよくわかり、テキスト2周目に入るときの参考になります。

いずれにしても、「このテキスト、いつから読んでいるんだろう。そして、いつ終わるんだろう?」の状態になることさえ避ければよいのです。受講中の方は、「テキスト1冊+添削課題」で一区切り、1ヵ月が目安ですよ。

当講座は、オンラインでの学習サポートと、教材を使った自宅学習の2本立てになっています。そして、これまでお届けしてきた指導部からのメールを、2017年からは学習ペースメーカーとして強化することにしました。学習の進捗は皆さんそれぞれなのですが、本試験からの逆算で、合格を目指すにはどこまで進めればよいのか、という目安を毎月お知らせします。一所懸命、皆さんのお尻を叩いていきますよ!覚悟してくださいね。

それでは、2017年度の試験日程(第38回:7月9日、第39回:11月26日)も発表されましたので、早速、目標を定めて前進していきましょう!(駒木)

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