2016.11月増刊号 第37回試験の総評

2016.11.27公開

本日、第37回福祉住環境コーディネーター検定試験®が実施されました。受験なさった皆さん、本当にお疲れさまでした!!そして、お待たせしました。3級・2級両方の総評を公開します(19時更新)。
最後に、ご報告を追記しました(2016.12.02)。

3級の総評】

まず全体的な難易度の印象は、おおむね例年どおりでした。印象的だったのは、不適切な選択肢の間違いポイントが文章の前半にあり、後半は正しいというパターンが多かったことです。選択肢を読み終えるころには適切に思えてしまうような誘導がなされました。皆さんは引っかかりませんでしたか?

といっても、定番問題も多く出題されましたので、合格率は、前回(43.3%)と同じか、少し上がる可能性もあると予想します。

次に、分野別にみていきましょう。問題設計をテキストの分野別に分析すると、次の表のとおりです。<ご注意>下の表内の数字は、解答番号ではなく、テキストの章番号です。

3級.png

1章(福祉)前回17%→今回26
前回より9ポイントも多く出題されました。定番の少子高齢化や住環境の問題点のほか、介護保険制度や障害者総合支援法からの出題が大幅に増えました。制度の理解が得点に大きく響きそうです。また、選択肢が「PT」の略称のみで、日本語が隠されたイジワル問題も現れました(第99-1イ)。

2章(医療)前回15%→今回15
高齢者の食事や運動を中心とした、例年どおりの傾向の出題でした。

3章(用具)前回21%→今回23
前回よりも問題数が増加しました。ユニバーサルデザインの定義、共用品と福祉用具の違い、介護保険制度での取り扱いなどが取り上げられたほか、久しぶりにISO/IECガイド71がお目見えし、幅広い知識が問われた内容となりました。

4章(建築)前回28%→今回21
前回が多かった分?今回は問題数が減少しました。内容はおおむね例年どおり、段差解消が中心でしたが、第7問イ(c)では、1章で学習する家庭内事故とからめた引っかけ問題になっていて、変化球だったといえます。

5章(福祉)前回19%→今回15
前回よりも出題は減りましたが、一般定期借地権やサービス付き高齢者向け住宅といった定番の内容はしっかりと出題されました。

【2級の総評】

まず全体的な印象として、今回は合格率を下げようとしているな、と感じました。前回(56.8%)が高かったためか、調整した様子が伺えます。具体的には、文章量の増加、新しい問題形式など。4~5行もある選択肢がたくさんあり、読み込むのに時間がかかった、という方も多かったのではないでしょうか?また、新しい問題形式は、該当する記述の合計数を答えるものでした(第2問エ)。選択肢が7つあるうち、ICFに該当するものは3つ(残り4つはICIDHに関する記述)で、答えは3でした。

合格率は・・・今回は前回よりも下がると予想します。

さらに詳細にみていきましょう。問題設計をテキストの分野別に分析すると、次の表のとおりです。<ご注意>下の表内の数字は、解答番号ではなく、テキストの章番号です。

2級.png

1・4章(福祉)前回26%→今回28
4章の相談援助が1問増加(復活)したことで、前回よりも微増となりました。文章量が多いものの、定番問題も多く、得点を伸ばしやすかったのではないかと思います。

2・3章(医療)前回32%→今回36
前回よりも4ポイント増加しました。といっても、第4問4-3、4-4だけで1点×10問分ありましたので、認知症と内部障害を得意としていた方にはラッキーな配点でした。

5章(建築)前回25%→今回23
第5問の事例は、関節リウマチの女性宅の住宅改修でした。図面からの単純な読み取りだけでなく、住環境整備の知識と合わせて総合的に判断させる問題になっていた印象です。

6章(用具)前回17%→今回13
介護保険制度や障害者総合支援法における取り扱いが重視され、用具そのものの出題はかなり減少しました。そして例えば第8問ウでは、選択肢は4つですが実際には6つの空欄穴埋めの組み合わせを考えさせる問題になっているなど、難度が高かったように感じます。

【疑問・難問を解説します】

Twitterその他、ご感想をお寄せいただき、ありがとうございました!以下に抜粋した問題の解説をお伝えします。

●第4問4-3
認知症の方への対応として、金属製のゴミ箱にする、という内容が出題されました。答えは1(適切)です。これは、火災の防止のために、燃えにくい素材を活用するという趣旨です。例えば、火のついたままのタバコをゴミ箱に捨てた場合に、燃え広がることを防ぐといったことです。でも、投稿いただいたとおり、陽の当たる場所に置いておいたら、熱くなって火傷しそうですね。日陰に置いておく必要があるといえます。

●第7問エ③
不適切な選択肢が見つからない!と焦った方が多かったようですね。袖壁に関する記述のうち、冒頭の「建具の吊り元の側に」が誤りです。吊り元の側とは、開き戸の丁番がある側、扉を支えている側のことです。袖壁は、吊り元とは反対側の、把手のある側に設けなければいけません。ということで答えは3です。

いかがでしたか?合格発表は、2017年1月6日(金)です。この試験は予定よりも早く通知が届くことがありますので(東京では前回も前日に届きました。笑)、年賀状に封筒が紛れていないかどうか、よく確認してくださいね。

ところで皆さん、ご自分へのご褒美は何か用意してありますか?(解答速報を出しておきながらなんですが...)今日のところは結果なんて関係ありません!頑張ったご自分を褒めてあげてください。試験対策の間、我慢していたものがあれば、目一杯楽しみましょう!

100%の努力なんて、誰にだって無理な話です。自分なりに、できるだけの、そこそこの、まぁ...少しはやったと言えるんじゃないか?と思えるくらいの、頑張りができたのなら、それでじゅうぶんです。本当にお疲れさまでした。

●受講期限が11月末の受講生の方へ

ご受講、ありがとうございました。いよいよこの日を迎えましたね。終わってしまうと思うと寂しい限りです。ご質問や添削課題をいただくたびに、皆さんの熱心な姿勢に触れ、感服するばかりでした。

やりきった!と晴々している方、やり残しが気になる方、それぞれかもしれませんが、皆さん、学ぶ前と今とでは、見える世界が明らかに変わっているはずです。

今まで気にならなかった、まちなかのバリアが目についたり、手すりの高さや形状が気になったり、そもそも「その人らしい生活」って何だろう?と考えてみたり...。視野が広がり、見識が広がった世界を存分に楽しみながら、お仕事や生活に役立ててくださいね。

また学習したことそれ自体があなたの自信になっていることでしょう。この経験をさらなる飛躍につなげてください。そして、支援を必要としている誰かを支えてさしあげてください。今後のご活躍を祈念いたします。

●来年度受験予定の方へ

来年度試験も大きな変更はなく、例年通り年に2回開催されると予想しています。この指導部だよりで試験情報を随時発信していきますので、こまめにチェックしにきてくださいね。

試験対策としては、いったん期間が空きますので、気分転換を挟んでもよいでしょう。ただし、春になったらあっという間。4月頃には次の試験の申し込みが始まりますから、くれぐれも休みすぎには要注意ですよ!

2016.12.02追記
【受験なさった皆さんへのご報告】

第37回試験の模範解答は当日中にすべて確定しました。ただし、なかには疑義を抱いた問題もあったため、指導部の見解を東京商工会議所へ伝えました。皆さんにも概要をご報告します。

●3級第1問オ②
介護保険制度における認定調査の実施者は「介護支援専門員」である、としている点で不適切とする問題です。しかし更新や区分変更認定に係る調査においては、居宅介護支援事業者等への委託が可能で、「介護支援専門員」が調査員として調査を実施しています。実情からみると「介護支援専門員」を不適切とするのは無理のある問題です。

●3級第9問9-1イほか
選択肢が①PT、②OT、③STという略称のみの問題がありました。略称は、あくまで便宜的に使用するものですから、これをもって難度を上げたのであれば、検定試験として適切な方法ではないと考えます。

●2級第2問ウ(b)
交通事故などによる受傷は「後天的障害」、進行性疾患の顕在化は「中途障害」、と分類している点で不適切とする問題です。しかし、交通事故による受傷を「後天的障害」、進行性疾患の顕在化を「中途障害」とそれぞれ呼ぶことに違いはなく、素直に読み取るほど、適切であると解釈することもできます。

●2級第5問5-1イ②
図面から通柱の有無を読み取る問題です。しかし通柱は3級・2級の試験範囲に含まれていません。筋かいなど、学習範囲からの出題を希望します。

以上、皆さんの疑問が解決できていましたら、今回試験での指導部の任務は完了です(ほっ。...いやいや、これから過去問題集制作に入ります)。今後も常に受験者目線で検定試験と向き合っていきます。(駒木)

駒木2.pngのサムネイル画像