2016.4月号 身近な危険 シックハウス症候群

皆さんは花粉症に悩まされていませんか? シックハウス症候群も、ある日突然、発症する「環境病」という点で、花粉症の仲間です。シックハウス症候群は、実は福祉住環境コーディネーター検定試験®(2級)の試験範囲でありながら、過去10年間まったくお目見えしなかったのですが、第35回の試験でついに出題された内容です。そこで今回は、シックハウス症候群の原因・症状・予防対策をミニ講義します。

【新築住宅だけじゃない!身近な原因物質】

シックハウス症候群が起こるのは、新築住宅だけではありません。部分的な改築や改装でも起こります。その原因は、ホルムアルデヒドやトルエンなどの揮発性有機化合物VOC)。合板、塗料、壁紙、接着剤などに含まれる化学物質です。

さらに、建材だけでなく、家具や家電製品にも危険があります。フタル酸化合物や有機リン化合物といった、プラスチックの可塑剤が含まれているからです。これらの化学物質は新しい製品ほど揮発性が高いので、家具や家電製品を買い替えた際にも注意が必要です。

またさらに、日常的に使用する、殺虫剤、防虫剤、芳香剤、洗剤、柔軟剤、床ワックス、たばこの煙などにも原因物質は含まれています。

そして、このような原因物質が人体に吸収されることで症候群が発症します。最近の気密性の高い住宅では、家中に原因物質が充満し、私たちは知らず知らずのうちに大量に吸い込んでいるのです。

【シックハウス症候群の症状は?】

その場で「目がしみる」といった粘膜症状は、中毒性です。中毒性の場合は、その場から離れればすぐに治ります。しかし、アレルギーや化学物質過敏症になると、その後も微量の化学物質に過敏に反応し続けるようになります。また空気中の物質だけでなく、農薬や添加物の入った食べ物などに対しても反応が出て、日常生活に影響を及ぼします。

化学物質過敏症は自律神経失調を主として、頭痛、発汗異常、不整脈、関節痛、不眠、情緒不安定、耳鳴り、喉の痛み、下痢、皮膚炎などを起こします。臓器、感覚器、運動器といった、からだのいたるところにその症状が現れるのが特徴です。

そしてやっかいなのが、血液検査では判明しないということです。病院で「異常なし」や「自律神経失調症」といった診断がなされ、発見が遅れて重症化することも多いのだそう。心当たりがある場合は、自分から医者に話す必要がありそうですね。

【予防対策は?】

建築基準法では、ホルムアルデヒドとクロルピリホスについて、室内濃度が指針値以下になるように対策を定めています。また厚生労働省では、13種の化学物質について室内濃度指針値を定めています。しかし、これらの基準を守った製品を購入するだけでは十分とはいえません。発症には個人差がありますから、自分でも、原因物質の吸収を減らすように対策をとることが必要です。

その第一は、換気です。新築住宅では、数か月の養生期間をおいて、十分に換気をしてから入居するのが望ましいとされています。また、化学物質は温度が高いほどたくさん放散されるので、これから暖かくなるのにあわせて、換気の回数を増やしましょう。特に小さなお子さんがいる場合、身長が低いために、トルエンやキシレンなど、空気より重い物質を吸い込みやすいので注意が必要です。掃き出し窓で換気したり、扇風機を使って空気を循環させたりするとよいでしょう。

余談ですが、私がかかわったケースで、肺気腫による入院後、入院中にリフォームした自宅で体調が悪化、「リフォームのせいだ!」と訴えるので、保健所の人に簡易検査をしてもらったことがありました。結果、大量に検出されたのは、パラジクロロベンゼン。タンスのなかに適量以上入れていた防虫剤が原因でした・・・。

素人判断では難しいものです。心配なときは工務店や保健所などに相談しましょう。(駒木)

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